クレジットカードと電子マネーの普及。
現代と未来のお金シリーズ|第1回
お金を持たない時代のはじまり
「最近、現金ってほとんど使ってないな」 そんなふうに感じている人、きっと多いのではないでしょうか?
コンビニでもカフェでも、スマホをかざせば一瞬で支払い完了。 お財布を持たずに出かけられる時代は、すでに始まっています。
お金のカタチが『現物』から『データ』へと変わっていく中で、 その中心となっているのが「クレジットカード」と「電子マネー」です。
今回は、私たちの生活に欠かせなくなったこの2つのしくみと、その進化について、 わかりやすく解説していきます。
クレジットカードの登場と進化
世界で最初のクレジットカードは、1950年にアメリカで登場した「ダイナースクラブカード」。 もともとは「会員制の食事代後払いカード」のようなものでした。
その後、VISAやMasterCardなどが誕生し、世界中で使える便利なカードへと進化。 日本では1960年代に三井住友カード(当時の住友クレジット)が登場し、 徐々に広まりました。
「クレジット(credit)」とは「信用」のこと。 つまり「この人なら後でちゃんと払ってくれるだろう」と信じて、先に商品やサービスを受け取れるしくみです。
・お金が手元になくても買い物できる
・ 分割払いやリボ払いも使える
・ ポイントが貯まる
こんなメリットが支持され、今や日常生活に欠かせない存在になっています。
電子マネーってなに?どう違うの?
電子マネーとは、現金をデジタル化したようなもの。 大きく分けると、以下の2つのタイプがあります。
- プリペイド型:先にチャージして使う(例:Suica、PASMO、WAON、nanacoなど)
- ポストペイ型:使った分を後で払う(例:iD、QUICPayなど ※多くはクレジットカードと紐付いています)

さらに最近では、QRコード決済(PayPayや楽天ペイ、LINE Payなど)も広く使われています。
これらはすべて「キャッシュレス決済」の一部。
財布から現金を取り出さなくても、スムーズに支払いができるため、 忙しい現代人のライフスタイルにフィットしています。
日本で電子マネーが広まり始めたのは2000年代後半から。 交通系ICカードの普及や、スマートフォンの進化、政府のキャッシュレス推進政策も後押しとなりました。
キャッシュレス社会の光と影
クレカや電子マネーはとても便利。 でも、すべてが「いいことづくめ」というわけではありません。
【メリット】
・小銭いらずで買い物がスムーズ
・支出履歴が残るので家計管理がしやすい
・非接触で衛生的
【デメリット】
・ついつい使いすぎてしまう
・紛失や不正利用のリスクがある
・高齢者やデジタルに不慣れな人にとってはハードルが高い
キャッシュレスが進むほど、「誰でも便利に使える」ための工夫や配慮も求められるようになっています。
災害時に「お金」は使える?
日本は地震や台風など、自然災害の多い国。 キャッシュレスがどれだけ便利でも、停電や通信障害が起きれば、スマホ決済や電子マネーは使えません。
実際に災害時、「現金しか使えないお店ばかりになった」 「スマホの充電が切れて決済できなかった」という経験をした人もいます。
そんな時に備えて、
‣ 数日分の現金を非常用に用意しておく
‣外出時は自宅に帰れるくらいの現金を持ち歩く
こうした「もしもの備え」が、心の安心にもつながります。
世界と日本のキャッシュレス事情
キャッシュレス化が進んでいる国としてよく挙げられるのが、スウェーデンや中国。 特に中国では、都市部ではほとんど現金を見かけないほど、QRコード決済が浸透しています。
一方、日本はというと「安全な現金社会」が長く続いていたため、キャッシュレスの導入はやや遅れ気味でした。
しかし、2020年以降、コロナ禍の影響で「非接触」の支払いが一気に加速。 いまや多くの人が、何らかのキャッシュレス手段を使っています。
これからの支払いはどうなる?
技術の進化により、支払い方法はますます多様化しています。
・スマホ決済:Apple PayやGoogle Payの普及
・ウェアラブル決済:スマートウォッチやスマートリング(指輪タイプ)での支払い
・生体認証:顔認証や指紋認証での本人確認と決済 → 日本でも、すでに指をかざすだけで支払いが完了する『指静脈認証レジ』や、指紋認証を搭載したクレジットカードの商用化が進んでいます。未来感ある決済体験が、少しずつ現実になり始めています。

これからは「財布を持たない」どころか、「デバイスすら出さない」支払いが主流になるかもしれません。
さらに進んだ未来では、あなたの「信用」そのものが決済手段になる時代も!?
見えないお金とどう付き合う?
クレジットカードや電子マネーの登場によって、 お金は「見えるもの」から「見えないもの」へと変化してきました。
でも、見えなくなっても、そこにあるのは「価値のやりとり」。 私たちはその「カタチ」が変わっていく時代に生きているのです。
便利でスマートな社会を楽しみながらも、 ときどき足元を見て、「お金」とのちょうどいい距離感を考えてみることも、大切かもしれません。