お金はなくなる?社会の未来像
現代と未来のお金シリーズ|第5回
そもそも「お金はなくなるの?」
みなさんは、最近いつ現金を使いましたか?
コンビニでの買い物や電車に乗るとき、ほとんどがキャッシュレスで済んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そんな時代に「このままいけばお金はなくなるのでは?」という疑問が出てきます。
ここでいう「お金」とは、私たちが普段使う紙幣や硬貨のこと。
はたして未来の社会から現金は消えるのでしょうか?
日本のキャッシュレス化の進展
経済産業省の発表によると、2024年に日本のキャッシュレス決済比率が40%に達しました。
これは政府が掲げていた「2025年までに40%」という目標を1年前倒しで達成したことを意味します。

さらに市場予測では、2030年にはキャッシュレス決済市場が約195兆円に拡大すると見込まれています。
日常の小さな買い物だけでなく、企業間取引や公共料金など高額の決済まで、デジタル化の波が広がる未来像が見えてきます。
CBDCをめぐる世界の動き
現金の代替手段として注目されるのが『CBDC(中央銀行デジタル通貨)』です。
各国が研究や実証を進めていますが、足並みはそろっていません。
- アメリカ、オーストラリア、カナダなど一部の先進国では、公共政策上の必要性が薄いとして研究を縮小。
- 2025年1月、アメリカではトランプ大統領がCBDC設立を禁止する大統領令に署名しました。これは、プライバシーや中央集権化への懸念が強く、政治にも影響を与えていることを示しています。
- 一方で、中国の「デジタル人民元」、EUの「デジタルユーロ」、そして日本銀行の実証実験など、導入に向けた取り組みは続いています。
つまり、CBDCは「未来のお金」の本命とされながらも、その行方は国ごとの事情や国民の不安に大きく左右されているのです。
技術革新と新しい決済の形
お金の未来を考えるとき、技術革新も欠かせません。
- AIの活用
決済システムにAIが導入され、不正利用の検知や、利用者ごとのレコメンド機能に期待が高まっています。 - バイオメトリクス(生体認証)決済
指紋や顔認証を使った決済が広がりつつあり、スマホや財布を持たずに買い物できる未来が近づいています。
こうした技術は「お金を持たなくても生きていける社会」を現実のものにしようとしています。
お金はなくなる?それとも形を変える?
ここまでを見ると、「現金は確かに減っていく」ことは間違いなさそうです。
しかし「完全になくなる」かといえば、まだ疑問が残ります。
- 災害時や停電など、インフラが止まったときに現金は最後のセーフティネットになる
- デジタル通貨の普及には、プライバシー保護やサイバー攻撃対策といった課題がつきまとう
つまり、お金はなくならないが、私たちの手元にある「形」は大きく変わっていくというのが現実的な未来像です。

お金は消えるのか? その答えは「消えない、けれど形は変わる」。
紙幣や硬貨は減り、デジタルマネーやCBDCが社会の中心になる未来がやってきます。
そして次回は、番外編。
「NFT・メタバースとお金の新世界」をテーマに、お金がデジタル空間でどんな価値を持つのかを一緒に見ていきましょう。