現代の株式投資と信用取引
株式と企業の歴史|第5回
株式投資は当たり前になってきた?
昔は「株=一部のお金持ちがやるもの」なんてイメージがありましたが、最近では「ちょっとやってみようかな」と考える人が増えてきました。
その背景には「新しいNISA」のスタートや、投資への考え方の変化があります。
今回は、いまどきの「株式投資」と「信用取引」について、初心者でも分かりやすく紹介していきます。
🪙 新NISAで広がる投資の入り口
2024年から始まった「新NISA」は、非課税の枠が大きくなり、しかも恒久化(ずっと使える)されました。
「期間限定だし、ちょっとしか投資できない」と思っていた人も、長期的にしっかり資産形成ができる仕組みとして注目されています。
政府が進める「貯蓄から投資へ」という流れも後押しし、「NISAなら非課税で始められるし、ちょっとやってみようかな」と思う人が増えました。
ただ、NISAではできないこともあります。その一つが「信用取引」。
もっとリターンを狙いたいと思う人たちが、NISAで投資に慣れてきたあとに「信用取引」に関心を持つケースが増えています。
NISA口座開設数の推移
調査時点 | NISA口座開設数(約) | 備考 |
2023年12月末 | 2,124万口座 | 旧NISA含む総口座数 |
2024年12月末 | 2,559万口座 | 新NISA開始1年間の確定値 |
2025年3月末 | 2,647万口座 | 最新の確定値 |
出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査結果について(2025年3月末時点)」より作成
📈 信用取引ってなに?レバレッジの魅力と注意点
信用取引は、「証券会社からお金や株を借りて投資する」仕組みのことです。
自分の資金の最大で約3.3倍といった取引ができるので、うまくいけば利益も大きくなります。でも逆に損失も大きくなるリスクがあるんです。
また、信用取引ならではの手法に「空売り」があります。持っていない株を売ることで、株価が下がったときにも利益を出すことができます。
ただし、最近は日本でも金利が少しずつ上昇してきていて、信用取引で借りたお金の金利負担(一般的に年利2〜3%程度)が気になるようになってきました。コストが利益を圧迫する可能性もあるので、常に意識が必要です。
🔍 信用取引に必要な「知識」と「心構え」
信用取引は、現物の株式投資よりも複雑で、リスクも大きくなります。
特に注意が必要なのが「追証(追加保証金)」と呼ばれる仕組みです。
これは、含み損が膨らみ、預けている証拠金(担保)の評価額が一定の水準を下回った際に、証券会社から追加でお金(証拠金)を入れてくださいと求められることです。
これを防ぐためには、証拠金(保証金維持率)の管理や、損失を自動で止めるロスカットルールをあらかじめ決めておくことが大切です。
それから、ネットやSNSにはたくさんの情報があふれていますが、中には誤った情報や投資詐欺、情報操作の目的で発信されているものもあります。信用取引をするなら、正しい情報を見極める力も必要です。
そして何より、短期的な値動きに一喜一憂しないメンタルの安定も大切なポイントです。
🤖 テクノロジーの進化とツールの活用
最近の証券会社のアプリやツールはとても高機能になっていて、リアルタイムで株価を見たり、アラートや自動売買の機能を使ったりすることができます。
信用取引はスピードが大事なので、こうしたツールを使いこなすことで、判断の質もぐっと上がります。
中には、AIやアルゴリズムを活用した自動売買に興味を持つ人も出てきています。すべての人に向いているわけではありませんが、選択肢の一つとして注目されています。

📚 まずは「知ること」から始めよう
NISAや信用取引に興味を持つ人が増える一方で、やはり大切なのは「まず知ること」です。
信用取引は仕組みを正しく理解しないと、大きな損失につながることもあります。
最近では、初心者向けの投資セミナーや無料講座、成功談や失敗談を紹介するYouTube動画など、学ぶための情報がたくさん出ています。ただし、SNS上では投資詐欺や誤った情報も少なくないので、すべてを鵜呑みにせず、大手証券会社の公式情報や金融庁などの公的機関のウェブサイトなど、信頼できる情報源を見極める姿勢も大切です。
そういったものをうまく活用して、自分に合った投資スタイルを見つけていきましょう。
🌸 信用取引は「リスクとどう向き合うか」がカギ
信用取引は、リターンも大きいけれどリスクも大きい取引方法です。
でも、仕組みを理解して、きちんとリスク管理をすれば、資産形成のひとつの選択肢にもなります。
自分のペースに合った方法で、焦らず、着実に投資と向き合っていきたいですね。
次回は「番外編:株式市場の歴史的な事件とその影響」。 過去の事件から学べることを一緒に見ていきましょう!