金市場の世界的な動きと未来の展望
金・銀・ダイヤの価値と取引|第5回
これまで、金の歴史やETF、CFDなど、さまざまな角度から金を見てきました。
今回は、さらに視野を広げて「世界の金市場の動き」と「金の未来」について考えてみましょう。
ニュースで「金価格が過去最高を更新!」と聞いたことがある人も多いかもしれません。
でも、それって世界的に金が高いということ?それとも日本だけ?
そして、今後も金の価値は上がり続けるのでしょうか?
金の価格は、世界中の経済や政治、通貨の動きと深く関わっています。
そのカラクリを、やさしくひも解いていきましょう。
世界の金市場ってどうなってるの?
金は世界中で取引されているグローバルな資産です。
主な市場はロンドン、ニューヨーク、そして上海など。
中でも、ロンドン市場の価格(ロコ・ロンドン価格)は、ニューヨーク市場などと並び、いわば「金の国際基準価格」ともいえる存在です。
金の需要には、主に4つの大きな柱があります。
・投資用(ETFや現物、先物など)
・宝飾品用(ジュエリー)
・産業用(電子部品、医療、宇宙産業などの実需)
・中央銀行(各国政府の金準備)

実はこの「産業用途」だけでも、世界の金需要の約7〜10%を占めており、金は私たちの生活の中でも重要な役割を果たしているのです。
特に最近では、各国の中央銀行が金の購入を増やしています。
米ドルへの過度な依存を避け、外貨準備の分散を図ろうとする動きが背景にあり、「金がふたたび世界の信頼を集めている」という状況です。
円建ての金価格はどう決まる?
日本でニュースになる「金価格が過去最高に!」というのは、円で見た金の価格のこと。
でも実は、円建て金価格は2つの要素から決まるんです。
それは…
円建て金価格 = ドル建て金価格(XAU/USD) × 為替レート(USD/JPY)
つまり、日本円で見た金価格は、
- 世界で決まる「金そのものの価格」
- 日本円とドルの「為替レート」
この両方の影響を受けるんです。
たとえば、金の国際価格があまり動いていなくても、円安が進めば日本での金価格は上がります。
逆に、金価格が横ばいでも、円高が進めば日本での金価格は下がります。
金の国際価格が同じでも、ドル円のレート次第で「日本の価格」は大きく変わる。
これが、私たちにとって金が「外国資産」であることの面白い特徴でもあります。
金価格の未来はどうなる?
金の価格は、歴史的に「不安なときに上がる」傾向があります。
戦争、インフレ、金融危機、通貨不安…。
人々が「今の通貨や経済はちょっと不安かも」と感じると、金が買われるのです。
最近では、
- ロシアとウクライナの戦争
- 世界的な物価高(インフレ)
- 米国の金融政策(利下げのタイミングや規模など)への思惑
- 各国中央銀行の金購入
といった要因が重なり、金価格が世界的に上昇。
さらに日本では円安が追い風となり、円建ての金価格も史上最高値を更新しています。
この先、ブロックチェーン技術の進化によって、すでに存在する『現物の金に裏付けられたデジタルな金』(XAUTなどがその例です)がさらに広く普及し、より手軽に取引できるようになるなど、金の投資スタイルももっと多様になっていくかもしれません。

新興国の経済成長に伴う金需要の増加も、金市場の未来を形作っていくでしょう。
金の価値は、これからも変わらず?
金は、何千年も前から「価値の象徴」とされてきました。
そしてこれからも、その役割は終わらないでしょう。
ただ、価値の見え方や投資の方法は、時代とともに変わっていきます。
ETFやCFDで手軽に投資できるようになった今、金はかつてよりもずっと身近な存在です。
変化の激しいこの時代に、「変わらない価値」を求める人は、
これからもきっと金に目を向けることでしょう。
次回は、番外編!
「世界を変えた「金」にまつわる戦争と陰謀」をテーマにお届けします。