あなたのパスワードは大丈夫?LINE公式アカウントや大学を襲った『リスト型攻撃』の実態
【あなたの財産を守る!】オンラインの落とし穴と防衛術|その3
『サブスク乗っ取り』とはまったく違うもうひとつのオンライン被害
前回の「サブスク乗っ取り」は、特定サービスにログインされて勝手な課金や視聴が行われるものでした。
しかし今回のテーマ 「リスト型攻撃」 は、まったく別の角度からやってきます。
一番怖いのは
あなたが狙われていなくても、パスワードが突破されること。
攻撃者はあなたを特定して攻撃しているのではありません。
過去に流出した大量の「ID+パスワード」の組み合わせ(リスト)を使い、 あなたのアカウントに自動でログインを試し続けるだけなのです。
現実に起きた『不正ログイン』の被害
① 大学で起きた、数千件のアカウント不正ログイン
ある大学では、学生アカウントが一晩で数千件突破されました。
提出物、メール、学生情報…
まるごと第三者に見られる状態に。
調査の結果、原因は大学が狙われたわけではなく、 学生たちの使い回したパスワードが突破されたことでした。
つまり、狙われるのは『人』ではなく、パスワードの弱点です。
② 企業のLINE公式アカウントが乗っ取り被害
企業や店舗のLINE公式アカウントが不正ログインされ、友だち登録しているユーザーに向けて、 「偽のクーポン」や「詐欺リンク」が大量配信された事件も多発。
お店は悪くなくても、信用は一気に落ちてしまいます。
ここでも原因は同じ。
他のサービスで流出したパスワードを使っていたことでした。
③ ECサイト・ゲームアプリも次々突破
ネットショップのポイント盗難、ゲームアイテムの消失など、
『気づいたらログインされている』被害が後を絶ちません。
リスト型攻撃とは?超わかりやすく説明
専門用語ですが、仕組みはとてもシンプルです。
【リスト型攻撃とは】
流出した「IDとパスワードの組み合わせ」リストを悪用し、異なる複数のサービスで自動的にログインを試み、
いろんなサービスで自動ログインを試す攻撃。

あなた個人を狙っているわけではなく、
犯人は万能鍵の束のように大量のパスワードを機械的に試しているだけ。
だから──
『突然、何十件もログイン通知が来た』 ということが起きるわけです。
サブスク乗っ取りとの違いは?
比較すると違いが明確になります。
| サブスク乗っ取り | リスト型攻撃 |
|---|---|
| 特定サービスを狙う | あなたの使い回しが狙われる |
| 認証突破の工夫が必要 | 流出パスワードを自動で試すだけ |
| 単発の被害 | 芋づる式に複数サービス突破 |
| 気づきやすい | 深夜は気付かれにくく、静かに突破されやすい |
突破されるとどうなる?
- SNS・LINEで勝手にメッセージ送信
- ネットショップのポイント盗難
- メール・大学アカウントまで閲覧される
- 仕事のアカウントまで突破
- 最悪、個人情報がほぼ丸見えに
オンラインのつながりは便利ですが、
突破されると被害は広範囲に広がります。
今日からできる防衛術
① パスワードの使い回しをやめる
これが最も重要。
どれだけ強いパスワードでも、
別サービスで漏れたら突破されます。
② 強力なパスワードを設定する
パスワードが必要なサービスでは、
長くて推測されにくいものを使うことが大切です。
▼ NGパターン(推測されやすい)
- 123456
- tanaka0501(名前+誕生日)
- password
- qwerty
▼ OKパターン例(推測されにくい)
- Xf!9uNp#42Fg
- Lk2@vR7!mQ4d
パスワード管理アプリを使えば、
こうした覚えにくいパスワードも自動管理できます。
③ パスキー(Passkey)を使えるサービスは積極的に使う
Google・Apple・Amazon・Microsoft など多くの企業が
「パスワードよりパスキーを推奨」する流れになっています。
◆ パスキーとは?
指紋認証や顔認証でログインできる仕組み。
端末の生体認証機能を使ってログインできる仕組みで、サーバー側にパスワードデータが保存されないため、盗まれるリスクがなくなります。
◆ なぜ推奨されているの?
- パスワード漏えいの概念がなくなる
- 使い回し問題が存在しない
- リスト型攻撃が効かない
- 操作が簡単で覚える必要もない

◆ どこで使える?
Google、Apple ID、Amazon、YouTube、PayPay など、大手サービスを中心に導入が急速に進んでいます。
見つけたら積極的にパスキーへ切り替えるのが一番安全です。
④ パスワード管理アプリを使う
複雑なパスワードを全部覚える必要はありません。
自動生成&自動保存の仕組みを利用することで、
「覚えられないから使い回す」問題が解決します。
⑤ 二段階認証は必ずON
パスキー非対応のサービスでは、
二段階認証が突破を防ぐ最後の砦です。
まとめ
リスト型攻撃は、
あなた個人ではなく、あなたの『パスワードの油断』を狙う攻撃です。
しかし、防げる方法はたくさんあります。
- 使い回しをやめる
- 推測しにくいパスワードを使う
- パスキーへ移行する
- 二段階認証をONにする
今日ひとつ設定するだけでも、
あなたのオンラインの安全は大きく変わります。
自分のアカウントを守る一歩を、今日から始めてみましょう!

