現代の金取引とETF(金投資の最前線)
金・銀・ダイヤの価値と取引|第4回
これまで、金・銀・ダイヤ・プラチナといった貴金属の歴史と価値をたどってきました。
今回のテーマは、いよいよ「現代の金の取引」にフォーカスします。
とくに注目されているのが、ETF(上場投資信託)という新しい投資スタイル。
初心者でも手軽に始められる金投資の世界を、一緒にのぞいてみましょう!
金はどうやって投資できる?
昔ながらの金の持ち方といえば、金貨や延べ棒を自宅に保管する方法。
「手元にある安心感」が魅力ですが、盗難や保管場所の問題がつきまといます。
そこで登場したのが、もっとスマートに金へ投資できる金融商品たち。 その代表が「金ETF」です。

金ETFってなに?
ETFとは「株のように売買できる投資信託」のこと。 金ETFは、その価格が金の価格に連動するように設計された金融商品です。
例えば「SPDRゴールド・シェア(GLD)」は世界的にも有名な金ETFで、 信託銀行などが実際に金を保有し、その金の価格に連動するように設計されています。
投資家は、この信託の受益権を株のように売買することで、間接的に金へ投資する形になります。
日本にも「純金上場信託」などの金ETFがあり、ネット証券などを使って簡単に購入できます。
メリットと注意点
金ETFのメリットは、
- 少額から始められる
- 売買が株と同じようにできる
- 保管や管理の手間がかからない
などが挙げられます。
一方で、
- ETFによっては手数料がかかる
- 実物の金は手元にない
- 短期的な価格変動に影響される
といった注意点もあります。
「将来に備えて金を持ちたいけど、延べ棒はちょっと……」という人には、 金ETFはとても相性がいい選択肢になるでしょう。
金はFXでも取引できる!
最近では、金を「CFD(差金決済取引)」という形で、証券会社やFX会社を通じて売買する人も増えています。これは、実物の金を持つのではなく、金の価格変動だけを取引する方法です。
たとえば「XAU/USD」という銘柄で、金と米ドルの価格差を売買する形になります。
ETFと同様に、
- 少額から取引できる
- 実物の保管がいらない
- スマホのアプリなどで、平日はほぼ24時間いつでも取引できる
というメリットがあります。
ただし、レバレッジ(てこの仕組み)を使うことで利益も損失も大きくなりやすいため、 リスク管理が重要になります。
「金は持たないけど、値動きに乗りたい!」という人にとって、CFDは便利な選択肢になるかもしれません。
金投資のこれから
金はこれまでも「価値の保管手段」として大きな役割を果たしてきました。
とくに最近では、インフレ懸念や経済の混乱、そしてウクライナとロシアの戦争などの地政学リスクが意識され、金への注目が再び高まっています。
実際に金の価格は、
2001年に1オンス約270ドルだったのが、 2010年には1,000ドル台、2020年には2,000ドル台へ上昇。 そして2024年以降も高値を更新し続け、 2025年4月21日にはついに『1オンス3,500.05ドル(※ロイター報道より)』という史上最高値を記録しました。
*金1オンスは31.1035グラムです。
2025年7月現在も、その高値圏で推移しています。

不安な時代ほど金が買われる、その傾向は、今もなお健在です。
さらに今後は、デジタル証券やブロックチェーン技術を活用した金取引など、 もっと便利で柔軟な投資手段が増えていく可能性があります。
金は、いまも進化を続けている資産なのです。
投資で見る「価値のかたち」
金をはじめとする貴金属は、時代や文化によってその役割を変えてきました。
かつては通貨や宝飾品、いまは資産やテクノロジーの一部として、 人々の「安心」や「信頼」の象徴であり続けています。
そしてETFやCFDといった新しい手段が生まれることで、 金はますます身近な存在に。
「価値あるもの」としての金の姿は、これからも私たちの暮らしとともに進化していくでしょう。
次回は、金市場の世界的な動きと未来の展望について、さらに深掘りしていきます! お楽しみに。