株や為替は誰が動かしているの?
なぜ市場・相場は動くのか?前編
株価や為替のニュースを見ていると、
「なんで急に上がったの?」
「なんで下がったの?」
「結局、何が価格を動かしているの?」
…って思ったこと、ありませんか?
実は相場は、たった1つの理由で動いているわけではありません。
いくつもの「人」と「判断材料」が重なって、日々動いています。
今回は、
- まず「誰が・何を考えて」動かしているのか
- 次に「ニュースでは実際どう動いたのか」
- それを知ると、私たちに何が変わるのか
この順番で見ていきましょう。
専門用語は、できるだけかみ砕いて説明しますね。
1. 相場を動かしているのは「人」と「仕組み」
相場って、
「なんでこんなに値段が動くんだろう?」
と不思議に感じませんか?
実は、そこにはとてもシンプルなルールがあります。
「買いたい人」と「売りたい人」
その数と勢いで価格が決まる
という仕組みです。
そして、その中心にいるのが次の人たちです。
■ 投機筋(とうきすじ)
「短期で利益を出したい人たち」のことです。
たとえば、
・ヘッジファンド
・CTA(商品投資顧問)などの大口ファンド
といった、巨大な資金を運用するプロ集団が中心です。
数時間〜数日単位で売買を繰り返すので、
相場を一気に動かすパワーを持っています。
※ いわゆる個人の短期トレーダーも「投機的な売買」はしますが、 資金規模がまったく違うため、市場全体を動かす影響力はほとんどありません。 (ただし、出来高の少ない小型株などでは、価格が動くことはあります)
同じ「トレーダー」でも、個人で売買している人と、 何百億・何千億円という資金を動かすファンドとでは資金力がまったく違います。
そのため、本当に相場を大きく動かすのは、資金力を持つプロの集団になることがほとんどです。
■ 機関投資家(きかんとうしか)
年金基金、保険会社、投資信託の運用会社など、
他人のお金を預かって運用しているプロ集団
です。
動かす金額がとても大きいため、
1回の売買だけでも相場が動くことがあります。
■ AI・アルゴリズム取引
最近とても増えているのがこれです。
これは、ヘッジファンドや投資信託の運用会社、証券会社など、 機関投資家を中心としたプロの世界で広く使われています。
つまり、AIそのものが相場を動かしているというより、 資金力のあるファンドや機関投資家がAIを使って売買しているため、結果として相場に大きな影響が出る、というイメージです。
あらかじめ決められたルールで、
・ニュース
・金利
・価格の動き
を瞬時に判断し、自動で売買します。
人間より何百倍も速いので、
「一瞬で相場が急変する」
そんな場面の正体が、AIの売買ということも少なくありません。
なお、現在の株式や為替市場では、取引全体の7〜8割がアルゴリズム取引とも言われています。
たとえるなら、
人間がニュースを読んで「えっ!?」と驚いている間に、 AIはすでに0.001秒で売り注文を出し終えている
そんなスピード感の世界です。
■ ファンダメンタルズ(経済の土台)
ちょっと難しそうな言葉ですが、意味はシンプル。
国や企業の「体力」や「成績表」
のようなものです。
たとえば…
・景気はいい?悪い?
・金利は上がっている?
・会社の利益は増えている?
・物価はどう?
さらに、
・戦争や紛争などの「有事」
・大国の大統領や首脳の発言
・国同士の対立や制裁
といった政治・地政学的な出来事も、ファンダメンタルズの一部として強く意識されます。
これらは企業の業績や景気、資源価格、為替に一気に影響するため、 ニュースが出た瞬間に相場が大きく動くことも珍しくありません。
こうした情報を見て、
「情勢が不安定だから、○○に投資しておこう。××は手放そう。」
「この会社は将来性のある商品を開発しているから、今のうちに買っておこう」
といった人の判断や心理から売買が起こり、 その積み重ねで価格が日々変動していきます。
ここまでをまとめると、
相場は
・投機筋(短期売買をする資金力のある大口勢)
・大金を動かすプロ(機関投資家など)
・AI(プロが使う高速な自動売買の仕組み)
・経済の実力(景気・金利・企業業績など)
・世界の政治・経済・情勢(戦争、制裁、首脳の発言など)
これらが重なって動いている
ということです。

2. ニュースで見る「相場が動いたリアルな例」
仕組みが分かったところで、
実際のニュースを例に見てみましょう。
例① 為替:中央銀行のレートチェックで円が急に動いた
1月24日、市場に少し緊張が走りました。
「米財務省の指示を受けて、FRB(アメリカの中央銀行)が、実務を担うニューヨーク連銀を通じて『レートチェック』を行った」
という情報が流れたのがきっかけです。
・ドルが売られ
・円が急に買われ
円高に大きく動く場面がありました。
理由はこれです。
「もしかして為替介入が入るかも?」
という市場の予想が一気に広がったから。
実際に為替介入が実施されなくても、 それだけで為替は大きく動きます。
※用語の補足
ここで出てくる「レートチェック」とは、為替介入を実施する前の準備段階として、中央銀行が市場参加者(主に銀行などの金融機関)に「いまの相場水準(取引レート)」を尋ねることです。
あわせて補足すると、為替介入とは、国(通貨当局)が実際に市場で自国通貨や外貨を売買して、 現在の為替レートが行き過ぎていないかを調整したり、急激な変動を抑えたりする目的で、相場に直接働きかける行為のことを指します。
例② 株式:関税のニュースで株価が下落
別の例では、
ある国が「関税を強化するかもしれない」と発表しただけで、
・企業の利益が減りそう
・景気が悪くなりそう
と考える人が増え、株が売られました。
結果、
株価が短期間で大きく下落
しました。
これも、事実そのものより
多くの人々の「予想」と「不安」
が相場を動かした例です。
例③ 相場は「感情」でも動く(実例:銀行不安のニュース)
数年前、アメリカで一部の銀行が経営不安に陥ったというニュースが流れたとき、
・まだ大きな経済指標が悪化したわけでもなく
・企業の業績が急に悪くなったわけでもない
段階にもかかわらず、
・株が一斉に売られ
・安全とされる国債や円が買われる
という動きが広がりました。
これは、
「他の銀行も危ないかもしれない」
「金融危機になるかもしれない」
という不安や恐怖が一気に広がったためです。
相場は数字だけの世界ではありません。
・安心
・期待
・恐怖
・焦り
こうした感情が、売買としてそのまま価格に反映されます。
だから、
同じニュースでも
市場の受け取り方次第で、上がる日もあれば下がる日もある
という不思議なことが起こります。

3. 仕組みを知ると、何が変わるの?
相場の動く理由を知らないと、
「なんか怖い…」
「ギャンブルみたい…」
と感じやすくなります。
でも、仕組みを知るとこう変わります。
■ ニュースに振り回されにくくなる
「暴落!」
「大混乱!」
そんな見出しを見ても、
あ、あのニュースが影響しているな。
あの会社の○○が影響したんだな。
と、少し冷静に見られるようになります。
■ 投資が「勉強」になる
価格の上下を見るたびに、
・金利
・景気
・政治
・企業活動
がどう関係しているのか考えるようになります。
これが、
お金の世界を読む力
になります。
まとめ:相場は「人の判断の集合体」
相場は、
・一部の誰か
・怪しい組織
が操作しているものではありません。
何万人、何百万人という人の判断が集まった結果
です。
だからこそ、
・完全に予測することはできない
・でも、仕組みを知れば「わからないもの」ではなくなる
という不思議な世界でもあります。
もし、投資に興味があるなら、
いきなり儲けようとしなくて大丈夫。
まずは、
「なぜ動いたんだろう?」
と、ニュースを見るたびに考えてみてください。
それだけで、
相場は「わからないもの」から
「理解できるもの」へ、少しずつ変わっていきます。
後編では、
「ニュースが何もないのに、なぜ相場は動くのか?」
という疑問をテーマに、もう一歩踏み込んだ相場の仕組みを解説します。


