日本とアメリカ「中央銀行」の成り立ちと役割

日本とアメリカの「中央銀行」は、どちらもその国の経済を安定させるための、とても大切な役割を担っています。でも、成り立ちや仕組みには少し違いがあります。
それぞれについて、できるだけ簡単にご説明しましょう!

日本銀行(にっぽんぎんこう)

成り立ち

日本銀行は、明治時代に日本の経済を安定させるために作られました。最初は政府が中心となっていましたが、今では政府からある程度独立して、自分たちで考えて金融政策を決めています。

役割

日本銀行には、主に3つの大切な役割があります。

  1. お札(お金)を発行する銀行(発券銀行)
    私たちが使っている1万円札や5千円札などのお札は、日本銀行だけが作ることができます。みんなの銀行やコンビニでお金が足りなくならないように、お札を供給する役割があります。
  2. 政府の銀行
    国のお金(税金など)を預かったり、国の支払いを代わりに行ったりしています。まるで政府の「お財布番」のような役割です。
  3. 銀行の銀行
    みんなが使っている普通の銀行(みずほ銀行や三菱UFJ銀行など)も、日本銀行にお金を預けていたり、お金を借りたりすることができます。普通の銀行が困ったときに助けてあげる、「銀行の親玉」のような役割です。

そして、これらの役割を通じて、日本銀行は「物価を安定させること」と「経済を安定させること」を目指しています。物価が上がりすぎたり(インフレ)、下がりすぎたり(デフレ)しないように、お金の量や金利(お金を借りるときにかかる手数料)を調整するのが、一番大切な仕事だよ。これを「金融政策(きんゆうせいさく)」と言います。

アメリカのFed(フェド)とFOMC(エフオーエムシー)

アメリカには、日本銀行のような「中央銀行」が一つだけあるわけではなく、いくつかの中央銀行が集まって、全体で中央銀行のような働きをしています。それが「Fed(フェド)」です。正式には「Federal Reserve System(連邦準備制度)」と言います。

成り立ち

Fedは、アメリカで昔、大きな金融恐慌(経済がとても悪くなること)が何度も起きた経験から、経済を安定させるために作られました。日本銀行が政府から独立しているのと同じように、Fedも政府から独立して金融政策を決めることができます。

Fedの仕組み

Fedは、大きく分けると次の3つのグループでできています。

  1. FRB(連邦準備制度理事会)
    これは、Fed全体を動かす「頭脳」のような組織です。議長(一番偉い人)がいて、金融政策の方向性を決めたりします。
  2. 連邦準備銀行
    アメリカはとても広い国なので、12の地域に分かれて、それぞれ中央銀行のような役割をする「連邦準備銀行」があります。これは、日本の地方銀行のようなイメージではなく、それぞれの地域で金融の安定を支える大切な役割を担っています。
  3. FOMC(連邦公開市場委員会)
    これが、Fedの中で一番大切な金融政策を決める会議です。
FOMCの役割

FOMCは、Fedの金融政策を実際に決める「会議」の名前です。約6週間に1回、定期的に会議を開きます。この会議で、アメリカの「政策金利(せいさくきんり)」をどうするか(上げるか、下げるか、変えないか)などを話し合って決めます。

  1. 政策金利の決定
    アメリカの政策金利は「FF金利(フェデラル・ファンド金利)」と呼ばれていて、銀行がお金を貸し借りするときの金利の目安になります。この金利を上げ下げすることで、世の中に出回るお金の量を調整し、物価の安定や経済の成長を目指します。
  2. 「量的緩和(りょうてきかんわ)」や「量的引き締め(りょうてきひきしめ)」の決定:
    これは、国債(国が発行する借金)などを買ったり売ったりして、市場に出回るお金の量を直接調整する方法です。景気が悪いときにはお金をたくさん供給して、景気が良くなりすぎたときにはお金を回収して、経済のバランスを取ろうとします。

日本銀行とFed・FOMCの主な違いまとめ

項目日本銀行FED&FOMC
成り立ち日本経済の安定のため、政府が中心となって設立。現在は独立性が高い。金融恐慌の経験から、経済の安定のために設立。複数の連邦準備銀行が集まってできている。独立性が高い。
組織日本の中央銀行として一つの組織「Fed(連邦準備制度)」という大きな仕組みの中に、「FRB(理事会)」、「連邦準備銀行」、そして「FOMC(金融政策を決める会議)」など、いくつかの組織が協力して動いている。
金融政策の決定日本銀行の役員たちが話し合って決める。FOMCという会議で、FRBの理事や連邦準備銀行の総裁などが集まって、政策金利(FF金利)や量的緩和などの金融政策を話し合って決める。
役割お札の発行、政府の銀行、銀行の銀行の役割を通じて、物価の安定と経済の安定を目指す。金融システムの安定、雇用の最大化、物価の安定を目指す。これも、お札の発行、政府の銀行、銀行の銀行の役割を果たすが、特に「雇用の最大化」も目標に入っているのが特徴。
決定機関の名称特に会議の名前は重要視されないが、日本銀行の「金融政策決定会合」で金融政策が決定される。金融政策を決定する会議の名前がFOMCとして非常に重要視され、世界中がその発表に注目する。

簡単に言うと、日本銀行は「日本の中央銀行として、一つの組織がいろいろな役割をまとめて担っている」のに対し、アメリカのFedは「いくつかのグループが協力して、中央銀行の役割を果たしている」という違いがあります。

そして、特に金融政策を決める会議が、アメリカでは「FOMC」として非常に注目されている、ということを覚えておくと良いでしょう。

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