金利がある世界が戻ってきたら何が変わる?
― 日本が「普通の金利の国」に近づくと起きること ―
最近、ニュースでよく聞くようになった『金利』という言葉。
正直、これまであまり気にしてこなかった、という人も多いかもしれません。
でも実はこの金利、私たちの暮らしや資産、
そして円の価値にまでじわっと影響する、とても大事な存在です。
日本はこれまで、長いあいだ「ほとんど金利がない国」でした。
けれど今、少しずつ風向きが変わり始めています。
もし日本が「金利があるのが普通の国」に戻っていくとしたら
私たちの生活はどう変わっていくのでしょうか。
できるだけやさしく、順番に見ていきましょう。
1. 日本はずっと「金利がほとんどない国」だった
日本では1990年代後半から超低金利政策が続きました。
1999年にゼロ金利政策が始まり、その後も長いあいだ低金利が続きます。
そして2016年には、ついにマイナス金利政策が導入されました。
これは、銀行が日本銀行にお金を預けるとき、逆に手数料のようなコストがかかる仕組みです。
ここでいう「銀行がお金を預ける」というのは、私たちが預金することとは少し違います。
市中銀行は、集めた預金の一部を日本銀行の当座預金口座に置いています。
いわば銀行同士の決済や安全管理のための「待機資金」です。
マイナス金利は、その一部に対してマイナス0.1%の金利がかかるというものでした。
銀行にとっては「預けると減る」状態。
その結果、預金金利はほぼゼロに張り付いたままになりました。
長いあいだ、日本では「お金を銀行に置いてもほとんど増えない」が当たり前だったのです。
2. 金利が上がると、何が変わる?
では、金利が戻ってくると何が変わるのでしょうか。
まず変わるのは、「お金の時間の価値」です。
金利があるということは、「今使うお金」と「将来のお金」に差がつくということ。
- 預ければ少し増える。
- 借りればコストがかかる。
この当たり前が、ゆっくり戻ってきます。
貯める意味が少し戻る
かつてバブル期やその前は、定期預金の金利が5%を超えることもありました。
銀行に預けているだけで利息がつき、その利息で旅行に行ける、という時代もあったのです。
さすがにそこまで高い金利に戻る可能性は高くありません。
でも、もし預金金利が0.5%、1%と上がれば、「ただ置いているだけ」ではなくなります。
爆発的に増えるわけではないけれど、貯めるという選択肢が、以前より少し現実味を帯びてくる。
そんな変化が起きるかもしれません。
借りるコストは上がる
一方で、住宅ローンなどの借入金利は上昇します。
とくに変動金利型を選んでいる人には影響があります。
ただし、日本の住宅ローンには多くの場合、
- 金利が上がっても5年間は返済額が変わらない「5年ルール」
- 増えても返済額は1.25倍までという「125%ルール」
といった仕組みがあります。
急激に家計が破綻するような設計にはなっていません。
それでも、じわじわと負担は増えていく可能性があります。
「借り続けるコスト」を意識する時代になる、ということかもしれません。

3. 円安と金利の関係
円安の理由はひとつではありません。
でも、世界のお金の流れを決める「重力」のようなものがあるとすれば、それが金利です。
金利が高い国へ、お金は引き寄せられます。
たとえば、
アメリカの政策金利が5%前後、
日本が0%近辺だった時期、
日米金利差は約5%ありました。

その結果、円を売ってドルを買う動きが強まり、
為替は1ドル=150円台まで円安が進みました。
もちろん為替は貿易や地政学リスクなど多くの要因で動きます。
それでも、金利差は大きな背景要因のひとつです。
もし日本の金利が少しずつ上がれば、日米金利差は縮小します。
円安が一気に解消するわけではありませんが、
円が弱くなり続ける流れには、変化が出てくる可能性があります。
4. 投資の世界も変わる
金利がほぼゼロの世界では、「現金は増えない」が前提でした。
だからこそ、株式や不動産などリスク資産にお金が向かいやすかった面があります。
でも、金利がある程度戻れば、安全資産でも少しは利回りが期待できるようになります。
リスクを取る意味、取らない意味を、もう一度考え直すタイミングになるかもしれません。
「なんとなく投資」から、「目的に合わせて選ぶ」へ。
そんな整理が進んでいく可能性があります。
まとめ
世界の多くの国では、景気や物価に応じて金利が上下するのが一般的です。
日本もいま、その流れにゆっくりと近づこうとしています。
それは、急激な変化ではありません。
でも確実に、私たちの選択に影響する変化です。
- 貯めるか、使うか。
- 借りるか、繰り上げるか。
- 円を持つか、外貨を持つか。
金利が動く世界では、そのひとつひとつに意味が生まれます。
金利が戻るということは、お金の価値をもう一度ていねいに考えるタイミングなのかもしれません。
知っているだけで、選び方は変わります。
これからの「金利がある時代」、上手に付き合っていけたらいいですね。


