お金はどこから生まれる? 銀行と中央銀行のはじまり
お金の始まりと進化|第4回
「銀行って、そもそもいつからあったんだろう?」
そんな素朴な疑問から、今回は「お金がどこで生まれて、どう動くのか」という、現代にもつながる大事なテーマに迫ります。
金属貨幣、紙幣と進化し、次に登場したのが「お金を扱うプロフェッショナル=銀行」たち。
彼らの登場は、お金の歴史にどんな革命をもたらしたのでしょうか?
🏛️ 古代からあった!? 銀行的な仕組み
実は銀行の原型は、古代バビロニア(紀元前2000年ごろ)の時代から存在していたとされます。
当時の神殿は、金銀や穀物を保管する「倉庫」の役割を担い、人々は神殿に財産を預けていました。
その預かり証明が「信用」の元になり、他人に譲渡されたり、貸し借りが行われたりしていたのです。
📌 「神に預ける=安心」という考えが、信頼の源だったとも言われています。

また、この時代には「利子」の概念も登場。
今に通じる「お金を預けて増やす」「貸して増やす」という考え方が、すでにあったのです。
🪑 イタリアから始まる近代銀行の原型
銀行という言葉の語源は、イタリア語の「バンコ(banco)」=ベンチ。
中世ヨーロッパの市場で両替商たちがベンチを並べて取引をしていたことに由来します。
とくに13〜15世紀、フィレンツェやヴェネツィアといった都市国家では、両替商が預金・貸付を始めるようになり、銀行業へと発展。
中でも有名なのが、フィレンツェのメディチ家です。
教皇庁の財政を支えるほどの巨大銀行を築き、国際的な資金の流れを生み出しました。
この時代、銀行は「国家を超える経済プレイヤー」としての役割を果たし始めていたのです。
🏦 中央銀行の登場と紙幣の管理
銀行が力を持ちすぎた結果、国家は「通貨の信用」を保つために動き始めます。
1661年、スウェーデンのストックホルム銀行がヨーロッパで初めて紙幣を発行。
しかし、金の備蓄が足りず、信用を失って破綻してしまいます。
この失敗を踏まえ、1668年にスウェーデン王立銀行(リクスバンク)が設立。
これが世界初の中央銀行とされ、以降は国が貨幣の発行と制度を担う方向へ進みます。
さらに、1694年にはイングランド銀行が誕生し、国家の財政と金融政策を支える中心に。

中央銀行は「最後の貸し手」として経済を支え、「紙幣の信頼」を保証する存在になっていきました。
🏯 日本の銀行のはじまり
日本で最初の本格的な銀行は、明治6年(1873年)に設立された「第一国立銀行」。 中心人物は「日本資本主義の父」とも言われる渋沢栄一です。
当時の日本では、江戸時代の藩札や地域通貨が混在しており、統一された信用ある通貨の必要性が叫ばれていました。
政府は、通貨と経済の安定を目指し、1882年に「日本銀行」を設立。
これが紙幣を発行する唯一の機関(発券銀行)となり、現在まで続いています。
🔍 そのころの日本は?
明治の商人たちは、現金以外にも「手形」や「信用」での取引を行うように。
経済活動がよりダイナミックに、そして制度化されていきました。
💡 この「第一国立銀行」は、合併や変遷を経て、現在のみずほ銀行の源流となっています。
信頼を制度にした“お金のプロ”たち
銀行の登場は、「お金を保管・管理する」だけでなく、 「お金を生み出し、流通させる」システムを作り上げました。
そして、そうした信用と制度を支えてきたのが中央銀行です。
かつては「通貨の安定=中央銀行の存在」とされてきましたが、 現代ではその在り方も変化の途中にあります。
デジタル通貨やブロックチェーンのように、「中央集権型」ではない「分散型の仕組み」が生まれ、 「管理者がいない=利用者が制度を支える」という新たな形も登場しています。
いま私たちは、「お金の信頼」を誰がどう保証するのか、その過渡期にいるのかもしれません。
次回はいよいよ、デジタル時代の入り口へ
📱 第5回:「デジタルマネー前夜」
クレジットカード、電子マネー、そしてスマホ決済へと、お金のカタチがまた大きく変わっていく瞬間を見ていきましょう!