クレジットカードと電子マネー、そしてスマホ決済へ

お金の始まりと進化|第5回

💳 信用で支払う:クレジットカードの誕生

1950年代、アメリカで誕生したクレジットカードは、現金を使わず「信用で支払う」仕組み。
最初に登場したのは『ダイナースクラブ(Diners Club)』で,
レストランなど限られた場所での利用からクレジットカードの歴史が始まりました

💡 ダイナースクラブは「世界初のクレジットカード」と広く認識されていますが、厳密には「世界初の多目的チャージカード」とも表現されます。
これは、特定店舗専用ではなく、複数の加盟店で利用できる点で画期的だったのです。

その後、利用範囲が広がり、「お金を持ち歩かなくても、支払いができる」新しい時代が始まりました。

日本でも、1960年代後半から普及が始まり、現在ではオンライン決済にも欠かせない存在となりっています。

💡 当初は紙製カードでしたが、1970年代には耐久性に優れたプラスチック製へと移行し、大量普及のきっかけとなりました。


🧾 小銭の代わりに:電子マネーの登場

2000年代に入ると、交通系ICカードやプリペイド型電子マネー(Suica、Edyなど)が登場。
チャージして使える手軽さや、小銭のいらない便利さで利用者が急増しました。

💡 Suicaは2001年に登場し、首都圏の鉄道利用者の間で一気に普及。電子マネーの利便性と普及のきっかけとなりました。

電子マネーは自動販売機、コンビニなどでも幅広く使われるようになり、「現金が基本」だった時代から、少しずつお金の常識が変わっていきます。

📊 日本における電子マネーの利用率は年々上昇しており、 総務省の2023年調査では、
約80%以上の人が何らかの電子マネーを利用したことがあると回答。
特に交通系ICやコンビニでの使用が一般的になっています。

📱 いつでもどこでも:スマホ決済の拡大

2010年代以降、スマホアプリで使えるQRコード決済(PayPay、LINE Payなど)が急拡大していきます。

スマホ一台で買い物が完結し、クーポンやポイントとの連携などの利便性も普及の後押しとなりました。

また、スマホ決済は『キャッシュレス化と金融包摂(すべての人に必要な金融サービスが届いている状態)』を促進し、 銀行口座を持たない層にも金融サービスを届けるツールとして注目されています。

🌍 日本では成人のほぼすべて(99%以上)が銀行口座を保有していますが、 世界的にはそうとは限りません。
世界銀行のGlobal Findex Database(2021年版)によると、
東南アジアでは約半数(約50%)
サブサハラ・アフリカでは約三分の一(約33%)
が銀行口座を持っていないとされています。

スマホとモバイル決済は、こうした「アンバンクト層(金融サービスを利用できない人々)」の金融アクセスを一気に広げる手段としても期待されています。

🌐 QRコード決済の普及状況は国によって異なり、
中国では2010年代中盤からAlipayやWeChat Payが急拡大し、現金を使わない社会が現実になりました。
一方、日本でのQR決済の導入は遅かったものの、2018年以降のPayPayなどの登場により急成長しました。


🔍 「お金の概念」が変わり始めた?

クレジットカード、電子マネー、スマホ決済、物理的なお金が見えなくなるにつれ、
「お金って何?」という感覚も少しずつ変わってきました。

たとえば:
・現金が手元になくても買い物できる
・お金を「数字」として管理するようになってきている
・ポイントやクーポンも“価値”として扱われる

こうした変化は、後に登場する暗号資産やブロックチェーンの登場への地ならしになっていきます。

お金は“見えなくても”存在する時代へ

お金の役割は、物理的な「貨幣」から、見えない「信用」や「数字」へと移行しています。

現代の私たちは、スマホひとつで決済を行い、通帳すら持たずにお金を管理することが当たり前になりました。

この「お金の見えにくさ」は、便利さと引き換えに、使いすぎや仕組みの理解不足といった課題もはらんでいます。

さらに、日本では高齢者やデジタル機器に不慣れな層にとって、スマホ決済の利用が難しく、デジタル格差の一因ともなっています。

次回はいよいよ、その次のステージ、「暗号資産」の登場に迫ります!
なぜ生まれたのか? どんな仕組みなのか? そして、それは「未来のお金」になり得るのか?
一緒にその扉を開けてみましょう。

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