新しい信用? 暗号資産の誕生と広がり(後編)
未来のお金と信用の仕組みをのぞいてみよう!
お金の始まりと進化|第7回
前編では、中央の管理者がいない「ビットコイン」の誕生から、
イーサリアムやスマートコントラクトといった新しい技術の登場までを見てきました。
自由で便利な一方で、まだ課題もたくさんある暗号資産のリスクや広がる活用法、国の動きなどを紹介しながら、これからの『信用』について考えてみます。
📉 リスクもある暗号資産
暗号資産は、未来のお金として注目される一方で、まだまだ多くの課題とリスクがあります。
💹 価格が激しく変動
今日は100万円だったのに、明日には半分の価値に…なんてことも。
夢もあるのですが、大きな損失につながる可能性もあります。
🧑💻 ハッキングのリスク
暗号資産は「自分で守る」仕組みですが、それが裏目に出ることも。
取引所(売り買いの場)だけでなく、個人のウォレット(暗号資産を保管する場所)もハッキングの対象になることがあります。
ネットにつながったウォレット(ホットウォレット)は特に狙われやすく、セキュリティ対策や管理の知識が不可欠です。
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🎭 詐欺や怪しいプロジェクトも存在
「このトークンは確実に上がる!」などとうたう詐欺的なプロジェクトも多くあります。
SNSやメッセージアプリで広がるケースも多く、情報の真偽を見極める力が必要です。
🔋 環境への負荷
ビットコインのような「マイニング(計算競争)」を行う通貨では、膨大な電力を消費します。
そのため、地球環境への影響が問題視されることもあります。
🌀 仕組みが難しく、失敗しやすい
暗号資産の管理には、『秘密鍵やシードフレーズ(復元パスワード/秘密の言葉の並び)』の取り扱いが重要です。
これを失くしてしまうと、資産に二度とアクセスできなくなることもあります。
🔄 広がる暗号資産の世界
暗号資産の仕組みは「お金」だけでは終わりません。
技術の応用によって、さまざまなサービスやアイデアが生まれています。
💸 DeFi(ディーファイ)
銀行を使わず、インターネット上でお金を貸し借りできる仕組み。
スマホとウォレットがあれば、世界中の人と金融サービスが使える可能性があります。
🖼️ NFT(エヌエフティー)
「世界にひとつだけのデジタル作品」を売買できるしくみ。
イラストや音楽、ゲームアイテムなどに使われています。
🌐 Web3(ウェブスリー)
データやサービスを、企業ではなく自分自身で管理できるインターネットの新しい形です。
中央に頼らない自由な世界を目指しています。
🔍 ちょっとむずかしく感じますが、
「誰かが管理する世界」から「自分で選ぶ世界」へ
という大きな変化が起きていると考えると、イメージしやすいかもしれません。
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🏦 銀行も参加? 国も動く?
最近では、世界中の銀行や投資家が暗号資産に注目するようになり、
アメリカではビットコインのETF(投資信託)も登場しました。
これにより、暗号資産が証券として正式に扱われるようになり、投資の選択肢としても広がりを見せています。
また、『中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)』の研究も進んでいます。
これは、国が正式に発行・管理する「デジタル版の法定通貨」です。
📍 日本でも「デジタル円」の研究が進行中!
日本銀行は、2021年から「デジタル円」の実証実験をスタート。
- フェーズ1では、技術的に問題なく動くかを検証
- 2023年からは民間企業と連携したパイロット実験も始まりました
まだ「発行する」と決まってはいませんが、
将来に向けて、さまざまな使い方や課題を探る段階に入っているのです。
🌍 すでに発行を始めている国もあり、
バハマやナイジェリア、ジャマイカ、東カリブ海の国々では『リテール型CBDC(一般向け)』が導入されています。
特に、災害時の決済安定や金融サービスへのアクセス向上を目的としており、新興国を中心に現実の選択肢として動き始めています。
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🧾 新しい信用の第一歩
暗号資産は、これまでの「国や銀行を信じて使うお金」から、
『仕組みや技術を信じて使うお金』への転換を試みています。
しかし同時に、リスクや格差も生まれることは忘れてはいけません。
特に、ウォレットやDEX(分散型取引所)を使うための知識が必要だったり、
トラブル時に誰にも助けてもらえない仕組みは、初心者には大きな壁です。
本来は「誰でも自由に使える世界」を目指したはずが、
知っている人だけが得をする『新しい不平等』にもつながりかねない。
だからこそ、これからの社会では、「知る機会」や「支える仕組み」も一緒に育てていく必要があるのかもしれません。
この動きはまだ始まったばかり。
お金のかたちが変わるとき、社会も少しずつ変わっていく。
それはまさに、「新しい信用の第一歩」なのかもしれません。