金属貨幣の誕生と刻まれた『信用』

お金の始まりと進化|第2回

前回は、貝殻や布、石など、世界各地で生まれた「お金の原型」についてお話ししました。
今回はいよいよ、「コイン」つまり金属貨幣の登場です。
実はこの金属のお金、単に「丈夫で長持ち」だから選ばれたわけじゃないんです。
そこには、人々の『信用』という新しい感覚が刻み込まれていました。

🏺世界初の金属貨幣はどこで生まれた?

歴史に残る最古の金属貨幣が生まれたのは、
紀元前7世紀のリディア王国(現在のトルコ西部)
この国では、「エレクトロン」と呼ばれる金と銀の合金を使って、
王が発行する“重さの揃ったコイン”が作られました。

これが何を意味していたかというと…
「このコインには、王の信用が刻まれている」
ということ。

金属そのものの価値 + 誰が発行したか、という“信用の裏付け”が、新しい経済の土台になっていったのです。

🧧同じ頃、中国では「道具の形をしたお金」が流通していた?

一方、中国でも紀元前7世紀ごろから独自の金属貨幣が登場しました。
その特徴はなんと「形」にありました。

刀銭(とうせん):短刀のような形
・布銭(ふせん)  :織物の道具の形
・金属製の貝貨 :かつてのお金“宝貝”を模したもの

これらは、かつて道具や貝を使っていた名残であり、
「これは○○の代わりになる価値がある」という象徴的な貨幣でした。

その後、紀元前3世紀、秦の始皇帝によって「半両銭」が全国で統一され、
形と重さが揃ったことで、計算のしやすさと国家の信用が加わり、
貨幣としての機能が飛躍的に進化していきました。


🗾そのころ、日本では…

この頃の日本(紀元前3世紀〜紀元後3世紀)は、弥生時代の真っ只中
まだ独自の貨幣は存在しておらず、米・布・鉄製品などが「お金」として使われていました。

それでも「金属に価値がある」という意識はすでにあったようで、
弥生時代の遺跡からは、中国の青銅鏡や銅剣などの輸入品が出土していて、
これらは権力や富の象徴としての価値を持っていたと考えられています。

つまり、日本ではまだ貨幣としての流通はなかったけれど、
「貴重な金属=偉い人が持つもの」という感覚が、しっかり根付いていたようです。

金属貨幣がもたらした『革命』

このように、金属のお金が登場したことで、取引のあり方は大きく変わりました。

【1】重さや形を統一 → 計算がしやすくなった
→ 市場や国レベルでの大規模な経済活動が可能に!

【2】「刻印」が「信頼の証」になった
→ 「誰が発行したか」が重要に。
国家・王・権力者 の信用が価値を生む時代に!

【3】お金=「価値+信用」の組み合わせへ
→ 単なる「モノ」ではなく、「意味を持ったモノ」に!


これが、後の「紙幣」や「電子マネー」などにつながる第一歩だったのです。


次回は「紙のお金」が登場!

金や銀は便利だけど、重い・かさばる・盗まれやすいという弱点も。
そこで登場するのが、「紙に書かれた価値」=紙幣です。

紙なんて燃やせば終わりなのに、なぜ価値があると信じられたのか?
その裏にあるのは、「国家と人間の信用の物語」でした。

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