そもそも相続税って何?日露戦争から続く「国との知恵比べ」
他人事じゃない相続・贈与_その4
相続税に感じる「なんで?」の正体
相続の話になると、多くの人が一度はこう思います。
「もう税金払ってきたお金なのに、また取られるの?」
給料をもらえば所得税
買い物をすれば消費税
家を持てば固定資産税
そうやって積み上げてきた資産に、最後にもう一度かかるのが相続税です。
この「何度も課税されている感じ」に、違和感を覚えるのは自然な感覚です。
ただ一方で、国の立場にも理屈(いわゆる建前)があります。
- 資産がそのまま世代を超えて固定されると、格差が広がる
- 一部の家庭だけがずっと有利になる構造を防ぎたい
いわゆる「富の再分配」という考え方です。
ここで大事なのは、どちらが正しいかではなくて
「個人の感情」と「国のルール」がぶつかる場所にいる
という認識です。
相続対策って、ここから始まります。
そもそもの始まりは「戦争のお金」だった
相続税の始まりは、かなり現実的です。
1905年(明治38年)、日露戦争の戦費をまかなうために、本格的に導入されました。
つまり最初は、
「非常時の資金調達」だったんです。
ただ、一度始まった税金は簡単にはなくなりません。
むしろ相続税は
- 資産の移転という『はっきりしたタイミング』で課税できる
- 逃れにくい
という特徴があるため、制度として定着しました。
気づけば100年以上。
今では完全に「前提として存在する税金」になっています。

「一部の富裕層の税金」じゃなくなった理由
昔の相続税は、正直かなり限定的でした。
対象はごく一部の資産家だけ
でも今は違います。
特に都市部では
- 地価の上昇
- 不動産の評価額の高さ
によって、
「家を一軒持っているだけ」で対象になる可能性が普通にあります。
相続税には基礎控除があります。
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例えば、相続人が2人なら
→ 4,200万円まで非課税
ここだけ見ると「大丈夫そう」と思いがちなんだけど
問題はここ
現金が少なくても、不動産は評価される
つまり
- 預金は少ない
- でも家の評価額が高い
この状態だと、
「払うお金がないのに税金だけ発生する」
ということが起きます。
これがいわゆる
「家を守るために家を売る」問題です。

ルールは静かに変わっている
さらに見逃せないのが、最近の制度変更です。
2024年の改正で大きかったのが
贈与の持ち戻し期間が3年 → 最大7年へ延長
これが意味するのはシンプルです。
「生前にコツコツ渡して節税するルート」を狭くした
国の方向性はかなりはっきりしていて、
- 生前に渡しても
- 亡くなった後に渡しても
トータルで同じように課税する
という設計に寄ってきています。
つまりこれからは
「とりあえず贈与しておけばOK」では通用しない
ということ。
タイミングと設計が重要になります。
知識は「攻め」じゃなくて「守り」
ここで一つ、冷静に見ておきたいポイント。
相続対策って、「得するための裏ワザ」ではありません。
むしろ本質は
「損しないための防御」です。
たとえば有名なのが
『小規模宅地等の特例』
これは条件を満たせば
『自宅の土地の評価額を最大80%減額できる』
というかなり大きい制度です。
※一定の面積制限や、誰が相続するかなどの条件があります
でもこれ、
知らなければ使えません。
そして、
後からの修正は非常に難しく、現実的にはやり直しが効かないケースがほとんどです。
だからこそ
「なんでこんな税金が掛かるの?」と感じる
「自分は大丈夫かな」と不安になる
それだけで終わると、そのまま損に直結します。
まとめ:これは「国との戦い」じゃない
ここまでの話をまとめるとシンプルです。
- 相続税は100年以上続く制度
- 昔よりも「普通の家庭」に近づいてきている
- ルールはむしろ厳しく・複雑になっている
だから必要なのは
感情論ではなく、準備です。
相続対策は、節税テクニックではなくて
家族のお金を守るための設計
ここを間違えると、
「知らなかった」で数百万円単位の差
が出る世界なのです。
次回は『その贈与、本当に認められる?』
否認されないために、どう証拠を残すかを考えていきます。


