大人のための「活きたお金の使い方」-第1回- 価値を生まないお金を減らして、人生の幸福度を上げる技術

節約だけを頑張っていると、貯金は増えても何か満たされない。
そんな気持ちになる人も多いのではないでしょうか

家計簿をつけて、無駄遣いをやめて、コンビニ通いもやめた。
我慢や節約を積み重ねた結果だから、あまり楽しくなくても当然。
むしろ「我慢の先に何があるのか」が見えていないことの方が、問題なのかもしれません。

お金は、貯めるより使う方が、実はずっと難しいもの。
貯金は我慢の連続で完結しますが、使い道には価値観と判断力が求められます。

今日は「価値を生まないお金」を減らし、「活きたお金」を増やすヒントを一緒に考えていきます。

「使う」が難しい理由とは

貯金はいたってシンプルで、 使わなければいい。

一方「何にお金を使うか」は、自分の価値観そのものが試される場面。
セール品だから買った。
みんな持っているから買った。
これ、心当たり、ありませんか?

こうした「なんとなくの消費」は、後から振り返っても何も残らないもの。
これこそが「価値を生まないお金」の正体です。

「モノ」より「体験」、幸せになりやすいのはどっち?

心理学の研究分野で、興味深い傾向が指摘されています。

2003年に発表されたアメリカの心理学者らの研究によると、
旅行や習い事、コンサートといった「体験」への支出は、
洋服やアクセサリーといった「モノ」への支出より、
幸福感を高めやすい傾向にあるそうです。

理由の一つが「比較のしにくさ」
モノは「もっと安い店があった」「あの人はもっと良いものを持っている」と比較しやすく、後悔にもつながりがち。
対して体験は他人と比べにくく、自分だけの記憶として積み重なっていくもの。

さらに別の研究では、時間経過による満足度の変化にも違いが見られています。
モノへの満足度は購入直後がピークで、時間とともに下降線。
逆に体験への満足度は、時間が経つほど上昇していく傾向があるとのこと。


これは思い出が美化され、良い記憶として積み重なっていくためと考えられています。
ただし、これはあくまで「傾向」で、すべての人に当てはまる絶対法則ではありません。

モノを買うこと自体が悪いわけでもなく、大切な人へのプレゼントや長く使える道具は、立派な「活きたお金」になり得ます。

「快楽適応」という落とし穴が

新しいバッグ、新しいスマホ。
買った直後の高揚感も、数週間経てば「当たり前」に変わる。

この現象、心理学では
「快楽適応(かいらくてきおう)」
と呼ばれています。
簡単に言えば、人は良いことにもすぐ慣れてしまう性質を持っている、ということです。

快楽適応そのものは、1970年代から研究の積み重ねがある、心理学ではよく知られた現象です。
宝くじの高額当選者でさえ、時間の経過とともに当選前の幸福度水準に戻っていく、という古くからの研究結果もあります。

つまり、新しいモノを買い続けても、幸福感は長続きしにくいもの。
これも「価値を生まないお金」が生まれる構造の一つと言えそうです。

「活きたお金」の見極め方は?

どうすれば「活きたお金」を増やせるのか?
完璧な正解はありませんが、考えるヒントはあります。

  • 後で誰かに楽しそうに話せる経験か?
  • 大切な誰かとの関係を深めてくれるか?
  • 自分の成長や、新しい学びにつながるか?

こうした視点で振り返ってみると、「なんとなく」で終わっていたお金の使い方が見えてくるはず。

明日からできる、小さな一歩

生活を大きく変える必要はありません。
まずは今月一つだけ。
「モノ」ではなく「体験」にお金を使ってみる。
それだけで十分です。

  • 友人とのランチ
  • 行ったことのない場所への小旅行
  • 興味のあった講座への参加


そんな小さな一歩を始めてみませんか。

節約は、もちろん大切なことなのですが、
ただ節約だけを目的にしてしまうと、人生そのものが窮屈になりかねません。

お金は「貯める」だけでなく「どう使うか」まで含めて、初めて豊かさにつながるもの。

次回は、
子どもや孫の世代に「お金」よりも残したいものについて、お話しします。

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