600万円まで非課税で投資できる。「こどもNISA」が来月動き出します
今年10月、こどもNISAの口座開設の受付が、複数の証券会社で始まります。
楽天証券や三菱UFJ eスマート証券など、制度開始に向け準備を進めている証券会社が出てきています。
「こどもNISA」って、前にもなかった?と思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、この新しい制度について、基本のところから整理していきます。
こどもNISA、基本のところ
正式には「未成年者特定累積投資勘定」という名称ですが、ここでは分かりやすく「こどもNISA」と呼んでいきます。
対象になるのは、0歳から17歳までの子ども。
成人向けのNISAにある「つみたて投資枠」と「成長投資枠」のうち、こどもNISAで使えるのは、つみたて投資枠に相当する部分だけです。
年間の投資枠は60万円、非課税で保有できる限度額は600万円。
これは、年60万円を10年間積み立てた場合に相当する金額です。
なお、この600万円は投資できる元本の非課税保有限度額であって、運用で増えた利益まで含めた資産額の上限という意味ではありません。
対象商品は、成人のつみたて投資枠と同じく、「長期・分散・積立投資に適した投資信託」に限られる見通しです。
非課税で運用できるという魅力がある一方、投資信託である以上、値上がりも値下がりもあります。
元本が保証されているわけではない、という点は、始める前に知っておきたいポイントです。
「2027年1月」と「2026年10月」、2つの日付
こどもNISAをめぐっては、2つの日付が出てきます。
ここを混同すると分かりにくくなるので、整理しておきます。
制度そのものが始まるのは、2027年1月1日。
これは、2026年3月31日に成立した税制改正法によって、法律上確定している日付です。
実際に投資ができるようになるのは、この日からです。
口座開設の「受付」が始まるのは、2026年10月。
こちらは法律で決まっている日ではなく、各証券会社が独自の判断で、制度開始に先立って準備期間を設けているものです。
楽天証券は10月開始を予定、三菱UFJ eスマート証券も10月1日から口座開設の受付を始めると発表しています。
つまり、「10月から申し込みだけ先に済ませておいて、実際に投資が始まるのは来年1月から」という流れになります。
ジュニアNISAとの違い
「昔、似たような制度がなかった?」と思った人もいるかもしれません。
かつて「ジュニアNISA」という未成年向けの制度がありましたが、2023年末で廃止されています。
このジュニアNISAが使われなかった理由は、主に2つ。
原則として18歳になるまで払い出しができず、教育資金など急な出費に対応しにくかったこと。
そして、非課税で運用できる期間が原則5年間と決められていて、期限が来ると継続管理勘定への移管など、複雑な管理が必要になる仕組みだったことです。
今回のこどもNISAは、この反省を踏まえた設計になっています。
| - | ジュニアNISA(廃止済み) | こどもNISA |
|---|---|---|
| 非課税期間 | 5年間 | 無期限 |
| 払い出し | 原則18歳まで不可 | 12歳以降、条件付きで可能 |
| 18歳到達後 | 課税口座への移管などが必要 | 自動的に成人のつみたて投資枠へ移行 |
非課税期間が無期限になったことに加え、18歳になったタイミングでも、特別な手続きをしなくていい点は、地味ながら使いやすさに直結するポイントです。

払い出しのルール、12歳が一つの目安
とはいえ、いつでも自由に引き出せるわけではありません。
12歳になるまでは、原則として払い出しができません。
12歳以降であれば、資金の使いみちが子どものためのものであり、子ども本人が同意していることを示す書類とあわせて、親権者が金融機関に申出書を提出することで、非課税のまま払い出しが可能になります。
18歳まで一切引き出せなかったジュニアNISAと比べると、ずいぶん柔軟になった印象です。
なお、口座を新しく設定できるのは「その年の1月1日時点で18歳未満である年」に限られます。
17歳から始めても、その年の投資分はそのまま非課税で成人のつみたて投資枠に引き継がれるので、「始めるのが遅すぎる」ということはありません。
成人になってからの通常のNISAとの関係については、情報源によって説明が分かれている部分もあるため、詳細は今後の公式発表で確認しておきたいところです。
祖父母からの贈与と組み合わせる
こどもNISAは、祖父母などからの資金援助とも相性のいい制度です。
贈与税には、暦年課税の場合、
もらう側(ここでは子ども)1人あたり年間110万円の基礎控除があります。
こどもNISAの年間投資枠は60万円なので、この非課税枠の中には収まりますが、「こどもNISAだから贈与税がかからない」というわけではありません。

複数の人から贈与を受けた場合は、もらった金額を全部合算して判定される点には注意が必要です。
祖父母から資金援助を受ける場合は、贈与税のルールもあわせて確認しておくと安心です。
ただし、まとまった金額を一度に贈与できる、教育資金の一括贈与に使える非課税制度は、これとは別の制度です。
こどもNISAは少額から始めやすいのが特徴。
子どもの口座で資産が増減していく様子を、家族で一緒に見守ることができる、という意味では、お金について話すきっかけにもなりそうです。
今から準備しておきたいこと
証券会社によっては、親権者自身がすでにその証券会社に証券口座を持っていることを、こどもNISA口座開設の条件としている場合があります。
まだ口座を持っていない人は、10月の受付開始前に用意しておくとスムーズです。
払い出しの条件など、細かいルールについては、2026年中に政令・省令で確定していく部分も残っています。
最新の情報は、金融庁や各証券会社の公式発表で確認するのが確実です。
0歳から始められる、というのもこの制度の良いところです。
生まれてすぐに積み立てを始めれば、60万円×10年で、だいたい10歳前後には600万円の非課税枠を使い切れる計算になります。
中学受験や高校・大学進学など、教育費がふくらみやすい時期を迎える前に、コツコツ積み立てを終えておける、という考え方もできそうです。
とはいえ、満額の年60万円(月5万円)は、決して小さな金額ではありません。
非課税で運用できる期間は無期限なので、無理に上限を目指す必要はなく、
たとえば月1万円程度から、無理のない範囲で長く続けていくという選び方もできます。
急ぐ人にも、ゆっくり続けたい人にも、それぞれのペースに合わせやすい制度だといえそうです。
こどもNISAは、非課税期間が無期限になり、12歳から条件付きで払い出せるようになるなど、ジュニアNISAの反省を踏まえた、使いやすさを意識した制度です。
実際の投資開始は来年1月からですが、口座開設の受付は今年10月から始まります。
子どもの将来に向けた資産づくりを考えている人は、この機会に情報を整理しておくとよさそうです。



