防災リュックは準備できているけど、お金の備えは?今日からできる『自然災害へのお金の備え方』
この1ヶ月ほどの間に、熊本県での最大震度7の地震(7月28日)、千葉県での記録的な豪雨(8月13〜14日)など大きな自然災害が立て続けに起きました。被災された方は、今もなお大変な状況が続いていることと思います。
こうした災害が起こるたびに、「うちも備えておかないと」と確認する人は多いはずです。
避難グッズや避難場所の話はよく聞きますが、お金の面での備えは、意外と語られる機会が少ないもの。
今回は、いざという時に頼りになるお金の備えを整理していきます。
保険での備え:地震と水害は別ものです
もし今、あなたの家が地震や豪雨で被害を受けたら、どれくらいの保険が受け取れるか知っていますか?
「火災保険に入っているから大丈夫」と思っていても、
地震・噴火・津波は地震保険、台風や大雨による水害は火災保険の水災補償とでは、備えが分かれているんです。
| 保険の種類 | こんな時に使う | もらえる金額の目安 |
|---|---|---|
| 地震保険 | 地震・噴火・津波による損害(火災保険だけでは補償されません) | 建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円。被害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて、その100%・60%・30%・5%が支払われる |
| 水災補償 | 台風や大雨による洪水・土砂崩れなど | 床上浸水などの場合に支払われる。条件や支払額は保険会社・契約内容によって異なる |
地震保険の保険金額は、
建物5,000万円・家財1,000万円が上限であるほか、原則として火災保険金額の30〜50%の範囲内という制限もあります。
「5,000万円まで補償される」わけではない点には注意が必要です。
それぞれ、押さえておきたいポイントはこちらです。
- 地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約するのがルール
- 地震保険は政府と保険会社が共同運営しているので、どこで入っても補償内容は同じ
- 水災補償は火災保険のオプションという位置づけで、契約によっては最初から外れていることもある
つまり、地震と水害では備えるべき保険が違うということ。
一度、自分の保険証券を確認してみてください。
家をすべて建て直せる金額ではありませんが、当面の生活費や仮住まいの費用として、生活再建の助けになるはずです。

公的な支援:いざという時にもらえるお金
保険だけでなく、公的な支援があることも知っておくといざという時に大きな助けになります。
もし家が大きな被害を受けたら、まず自治体で「罹災証明書」を発行してもらいます。
これは、被害の程度を自治体が認めてくれる証明書で、この先のさまざまな支援を受けるための、いわば入り口になるものです。
⚠️知っておきたいポイント
地震保険や火災保険の請求には、実はこの罹災証明書は原則必要ありません。
保険会社は契約に基づいて独自に損害を調査・判定するので、「罹災証明書が届いてから」と連絡を待ってしまうと、手続きが遅れることもあります。
保険会社への連絡と、罹災証明書の申請は並行して進めて大丈夫です。
| 制度 | こんな時に使う | もらえる金額の目安 |
|---|---|---|
| 被災者生活再建支援制度 | 住宅が全壊・大規模半壊など、大きな被害を受けた時 | 基礎支援金+加算支援金をあわせて最大300万円(単身世帯は4分の3) |
| 住宅の応急修理制度 | 住宅が損傷し、日常生活に必要な部分の修理が必要な時 | 被害の程度などに応じた限度額まで(1世帯あたり数十万円程度が目安) |
それぞれ、押さえておきたいポイントはこちらです。
- 被災者生活再建支援制度は、どんな災害でも自動的にもらえるわけではなく、一定規模以上の被害が出た市町村だけが対象
- この支援金は、一定の住宅被害を受けた「世帯」が対象。持ち家だけでなく、一定の要件を満たせば賃貸住宅に住んでいた世帯も対象になる
- 応急修理制度は「支援金がもらえない人向け」というわけではなく、条件を満たせば両方とも利用できる場合がある
- 申請には期限があり、基礎支援金は災害から13ヶ月以内、加算支援金は37ヶ月以内
ちなみに、よく耳にする「義援金」は、この支援金とは別物。
義援金は日本赤十字社や自治体を通じて、全国から寄せられた寄付を被災者に分配する仕組みで、法律に基づいて国や都道府県が支給する被災者生活再建支援金とは、財源も仕組みもまったく違います。
目の前の現金の備え
最近では、普段はキャッシュレス派という人も多いと思いますが、災害の直後は少し勝手が違います。
大きな災害では停電が起きやすく、電子マネーやカードの決済端末、ATMが使えなくなることも珍しくありません。
実際、過去の災害でも「停電で決済端末が動かず、現金しか使えなかった」という声がたくさん聞かれています。
「現金はいくら必要なのか?」
全国共通の正解はありませんが、普段の生活費を参考に「数日から1週間程度、現金だけでも困らない額」を目安にすると安心です。
また、1万円札だけでなく、千円札や小銭も混ぜておくのがコツ。
停電時はお店側もお釣りを用意できないことがあり、また公衆電話など現金しか使えない場面に備え、小銭は多めに持っておきたいところです。
目の前の備えだけじゃない。もしもの「暮らし」を守るお金
ここまでは、災害が起きた直後に必要になるお金の話でした。
でも、本当に考えておきたいのは、その先の暮らしのことかもしれません。
もし被災して、しばらく働けなくなったら。
あるいは、住まいを失って、生活を立て直すまでに数ヶ月かかったら。
保険や支援金だけでは、生活費のすべてをまかなえるとは限りません。
そこで大切になるのが「生活防衛資金」という考え方です。
これは災害に限らず、失業や病気、収入の急な減少など、いざという時に暮らしを支えるお金のこと。
必要な金額は収入の安定性や家族構成によって変わりますが、
• 一般的な家計管理では、会社員は生活費の3〜6ヶ月分
• フリーランスや自営業の人は6ヶ月〜1年分
をひとつの目安とする考え方があります。
傷病手当金や失業手当といった公的な保障の有無が、この差の背景にあります。

まずは1ヶ月分から、普段使いの口座とは別に、すぐ引き出せる預貯金として取り分けておくのがおすすめです。
目の前の現金だけでなく、こうした少し長い目で見た備えも、今から少しずつ育てておきましょう。
まずは小さな一歩から
自然災害への備えというと、身構えてしまう人も多いかもしれません。
でも、お金の面での備えは、今日からできることばかりです。
火災保険の証券を確認して地震保険・水災補償が付いているか見てみる。
罹災証明書という言葉を覚えておく。
財布に少しだけ小銭を増やしておく。
そして、生活防衛資金という考え方を頭の片隅に置いておく。
また、保険証券や銀行口座、保険会社の連絡先といった重要な情報は、スマホだけでなく紙でも確認できるようにしておくと、より安心です。
どれも、大きな負担にはならないはずです。
備えは、いつか来るかもしれない日のためだけでなく、今の安心にもつながります。
この機会に、少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

