大人のための「活きたお金の使い方」-第2回- 子どもや孫に「お金」より残したい、最高の遺産とおうちでできるお金の話

「子どもには苦労させたくない」
多くの親が、そう思っています。
できることなら、お金を残してあげたい。
その気持ちは、とても自然なこと。

でも今の時代、お金を残すだけでは追いつかない現実があります。
残したお金を守り、育てる「知恵」がなければ、せっかくの財産もあっという間に消えてしまうのです。

実は他人事じゃない、相続税の話

少し前まで、相続税は「お金持ちだけの問題」でした。
ところが2015年、相続税の基礎控除額が大きく引き下げられました。

改正前は、配偶者と子ども2人の家族なら8,000万円まで非課税。
それが改正後は4,800万円に縮小しました。

この改正をきっかけに、相続税の課税割合は改正前の約2倍に跳ね上がりました。
国税庁のデータによると、現在は亡くなった方の10人に1人以上が課税対象。
自宅と老後の貯えがあれば、意外と簡単に課税対象になりうる水準です。

さらに2024年の税制改正によって、生前贈与の扱いも変わりました。
以前は亡くなる前3年以内の贈与が相続税の対象でしたが、
現在は段階的に「最長7年」まで延長される仕組みになっています。

「少しずつ渡しておけば大丈夫」という従来の対策が、使いにくくなってきています。


ここで詳しい節税の話をするのは私たちの役割ではありません。
ただ「相続はもはや、普通の家庭にも関係する話」という認識は、持っておいて損はないはずです。

お金を残しても、使い方を知らなければ

仮にまとまったお金を受け取ったとして、使い方を知らなければどうなるでしょう?
よかれと思って渡したお金が、数年で消えてしまう
そんなケースは、決して珍しくありません。

お金には、守る技術と増やす知恵が必要です。
それを知らないまま大きなお金だけを手にしても、かえって困る場面も出てきます。

つまり「お金を残す」より「お金と上手に付き合う力を残す」方が、長い目で見ると子どものためになる。
そういう時代になってきています。

「知恵」は一生ものの財産

金融広報中央委員会が2022年に実施した「金融リテラシー調査」によると、
金融教育を受けた人は受けていない人に比べて、
金融リテラシーが高く、望ましいお金の行動をとりやすい傾向があると報告されています。

難しい話ではありません。
要は、お金について考える機会があったかどうか、の差です。

昔は「お金の話は品がない」という空気がありました。
でも今は違います。
家族でオープンにお金の話ができる家庭の子どもの方が、将来にわたって賢いお金の使い方ができる可能性が高い。
そういう時代に変わってきています。

おうちでお金の話をしよう

特別なことは、何も必要ありません。
教材も、専門知識も、不要。
食卓での会話から始めるだけで十分です。

年齢別に一例を挙げてみます。

小学生のころは
お小遣いを渡して、自分で使い道を決めさせる。
「何に使ったか」を一緒に振り返るだけで、立派な金融教育になります。

中学生・高校生になったら
家族の家計をざっくり見せてみる。
電気代、食費、通信費・・・お金がどう動いているかを知るだけで、意識が変わります。

大人になった子どもと
投資や保険の話を一緒に考えてみる。
「うちはこうしている」という親の経験談は、どんな教科書より身近に響くもの。

難しい言葉は使わなくていい。
正解を教えなくていい。
一緒に考える時間そのものが、財産になります。


お金は、いつか底をつくことがあります。
でも「考える力」と「知恵」は、奪われることがありません。

子どもや孫に残せる最高の遺産は、お金そのものではなく、お金と上手に生きていく力かもしれません。


次回は、
SNSの「隣の芝生」に惑わされない、自分だけの豊かさの見つけ方についてお話しします。

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