【情報漏洩からあなたの財産を守る①】免許証・パスポート・会員情報、漏れると何が起きる?

寺子屋プロジェクトは、お金の勉強をする場所です。実は、情報漏洩も、お金の話につながります。

免許証やパスポートのように、本人確認に使われる情報は、口座の開設やカードの申込みなど、お金の手続きにも使われます。
なので、その情報は、あなたの大切な財産でもあるんです。

ここ最近、情報漏洩のニュースが続いています。
セキュリティ対策Labの独自集計では、9月1日から10月12日までに公表・更新された国内の主な案件が71件。
すべての事案を数えたものではなく、「漏れた可能性がある」ものや、誤送付なども含まれます。それでも、続いていることは確かです。

漏れた情報は、お金の手続きで悪用されうる。だから、備えておく価値があります。
前編では、何が漏れたのか、お金の面で何が心配なのかを、事実だけで整理します。
数字は、10月18日時点の公式発表や報道をもとにしています。

国内で、何が漏れたのか

最近公表された、国内の主な事例です。

タイムズカー:免許証の画像が、約160万件

カーシェアの「タイムズカー」では、外部からの不正アクセスで、会員情報が取得されました。公式発表は、次のとおりです。

項目内容
不正アクセスの検知9月25日
件数約660万アカウント(退会した人、入会手続き中の人を含む)
漏れた情報氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、運転免許の情報
本人確認書類が漏れたアカウント約160万件(免許証の画像など)
クレジットカード情報漏えいしていないと発表

パスワードは、元に戻せない形で保管されていたと、会社は説明しています。

免許証の画像が漏れると、何が心配なのか。
専門家は、口座の不正な開設や、クレジットカードの不正な作成に悪用される危険性を指摘しています。
警察庁も、なりすましへの懸念を示し、口座開設やカード契約での本人確認の徹底を求めました。

ただし、確認できた範囲では、今回の漏えいによる不正な口座開設やカード作成が確認された、という公式発表は見つかっていません。
「心配されている」段階の話です。

会社は10月16日の第4報で、保有している本人確認書類の画像を、10月末までに全て削除すると発表しました。今後は、会員登録の確認が終わったら、すぐ削除するとしています。
補償は、外部の専門機関の調査結果を踏まえて決める予定とされ(10月13日更新のFAQ)、今後の対応の案内は、10月23日に予定されています。

話題になっている免許証の再交付をどう考えるかは、後編で整理します。

ローソン:身近なIDとアプリ

ローソンでは、「ローソンID」で、不正アクセスがありました。ローソンIDとは別に、「ローソンアプリ予約」でも、不正アクセスがありました。

  • 不正アクセス:ローソンIDは9月12日〜14日、アプリ予約は9月17日
  • 判明:10月7日。公表は10月8日
  • ローソンID:215万5,345件。メールアドレス、氏名、性別、電話番号、住所など
  • アプリ予約:26件。氏名、電話番号、クレジットカード番号の一部

10月13日時点で、この件による不正利用や二次被害は確認されていない、とされています。

HIS:パスポートの情報

旅行会社のHISでは、タイの現地法人のサーバーに、不正アクセスがありました。

  • 対象:最大627名
  • 漏れた可能性がある情報:パスポート情報(アルファベットの氏名、性別、生年月日、パスポート番号、有効期限)と、アレルギー情報
  • 含まれない:電話番号、住所、メールアドレス、クレジットカード情報

不正アクセスの検知は、2025年12月です。公表は、2026年10月7日。約10か月かかりました。理由は、関係のないデータが大量に混ざり、確認に時間がかかったため、と説明されています。日本で取得した個人情報の一部が含まれていたことも、発表されています。

ほかにも:大和証券・GMO・焼肉きんぐ
事案件数主な内容
大和証券(委託先)約11万人氏名、メールアドレス、口座番号など。委託先のサーバーへの不正アクセス。不正な取引は確認されていないと説明(報道)
GMOリサーチ&AI(infoQ)89万4,082件(10月14日に確定。最初の発表は最大94万8,498件)氏名、住所、生年月日、電話番号など。ポイントの不正な交換が611件、約287万円。会社が全額補填すると説明
焼肉きんぐ(公式アプリ)1,078万8,963件会員番号、氏名、メールアドレス、電話番号(報道)

GMOリサーチ&AIは、サイトで使っていたソフトウェアの脆弱性(システムの弱点)が悪用されたと、発表しています。

漏れると、何が心配なのか

何が漏れたかで、心配の中身が変わります。

情報の種類ごとに見ると
漏れた情報心配されること
免許証などの画像口座やカードの手続きでの、なりすまし(専門家の指摘)
氏名・電話・メール・住所本物らしく見せた、偽のメールやSMS、電話(各社が注意を呼びかけ)
口座番号(大和証券)証券会社をかたる、偽の連絡
カード番号の一部・名義ローソンのアプリ予約(26件)などで、番号の「一部」が漏れた。番号全体が漏れたかは、事案ごとに発表で確認が必要
パスポート情報悪用の具体例は、発表からは確認できていません

ダークウェブでは、何が起きている?

ダークウェブとは、通常の検索では見つからず、特別なソフトを使って入る、インターネットの領域です。

関西テレビの取材では、マイナンバーカード100枚以上のセットが合計99ドルで出ている投稿や、「300枚以上の日本の運転免許証」と書かれた投稿が、見つかっています。
専門家は、盗まれた情報は、ブローカー(仲介する人)を通じて売買されると説明しています。TBSの報道(10月16日)でも、日本の運転免許証が1枚1,050ドル(約17万円)で出品されていた、と伝えられています。
いずれも出品者の説明で、情報が本物かどうかや、入手経路は、確認できていません。

ただし、今回のタイムズなどの情報が売られているかは、確認できていません。「売買の場がある」ことと、「今回の情報が売られている」ことは、別の話です。

日本だけの話ではありません

世界でも、情報漏洩は続いています。

世界の数字
  • IBMとPonemon Instituteの調査(2026年版):情報漏洩1件あたりの世界平均コストは499万ドルで、過去最高。前年比12%増。企業などが負担するコストの平均で、個人の被害額ではありません
  • Verizonの年次調査(2026年版):調査対象の侵害の31%が、ソフトウェアの脆弱性から始まり、盗まれたパスワードを上回って最多の侵入経路に(対象は2024年11月〜2025年10月の事案)
米国防総省の人事データセンター(DMDC)

報道によると、2025年10月から2026年7月にかけて、権限のない少数の人が、暗号化されていない個人情報にアクセスしていました。対象は約300万人(亡くなった人を含む)。
社会保障番号(米国で本人確認に広く使われる番号)や氏名などが含まれ、悪用の兆候は確認されていません。国の機関でも、起きるのです。

まとめ

  • 何が漏れたかで、心配の中身が違う
  • 「心配されていること」と「確認された被害」は、分けて見る
  • 世界でも、続いている

完璧に防ぐことは、できません。でも、知っておけば、備えることはできます。

次回の後編では、自分の財産を守るためにできること。確認のしかたと備え、免許証の再交付をどう考えるか、困ったときの相談先を整理していきます。


参考(公式発表)
タイムズカー 第2報・第3報・第4報
ローソン お知らせ
HIS お知らせ(PDF)
GMOリサーチ&AI お詫びとお知らせ
IBM Cost of a Data Breach Report
Verizon Data Breach Investigations Report

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