個人向け国債の仕組み。国にお金を貸すと、何がもらえる?

ニュースでよく耳にする「国債」。
なんとなく、国や大きな金融機関だけの話だと思っていませんか?

実は国債には、個人が1万円から買えるものがあります。
それが「個人向け国債」。
最近は金利が上がってきたこともあって、名前を目にする機会が増えてきました。

今回は、個人向け国債ってそもそも何なのか、どうやって利益が出るのかといった、仕組みから見ていきます。

そもそも「国債」って何?

国債は、国がお金を集めるために発行する「債券」です。
債券とは、お金を受け取った側が「いつまでに、どれだけの利息をつけて返します」と約束した証書のこと。

国債で集めたお金は、国の予算を通じて、公共事業や社会保障など、国のさまざまな支出に充てられます。

買う側から見ると、国債を買うことは、国にお金を貸すこと。
そして国は、約束した日に利息を払い、満期にはお金をそのまま返してくれます。

つまり国債は、私たちが「国にお金を貸して、利息を受け取る」ための商品でもあるんです。

一般の国債は市場で売り買いされていて、金利の動きによって値段が変わります。
これに対して個人向け国債は、個人が買いやすいように、買える単位や金利、途中で換金するときのルールまで工夫して作られた国債です。

どうやって利益が出るの?

ここが一番大事なところ。
個人向け国債で受け取れる利益は、「利息」だけです。

流れはシンプル。

  1. 1万円単位で国債を買う(国にお金を貸す)
  2. 半年ごと、年2回、利息を受け取る
  3. 満期が来たら、貸したお金がそのまま戻ってくる

株のように「値上がりして儲かる」ことはありません。
その代わり、市場の金利が上がっても下がっても、満期には買ったときと同じ額面の元本が戻ってきます。

利息には、預金と同じく20.315%の税金がかかります。

例えば、10月募集分の固定5年(年2.39%)を100万円買った場合。
1年間の利息は税引前で23,900円
税金を引いた手取りで約19,045円

5年間持ち続けると、手取りの利息は合計で約9.5万円になります。

3つのタイプ、どう違う?

個人向け国債には、3つのタイプがあります。
毎月募集されていて、どれも1万円から買えます。

項目変動10年固定5年固定3年
満期10年5年3年
金利半年ごとに変わる満期まで変わらない満期まで変わらない
10月募集分の金利初回2.05%2.39%2.07%

※税引前・年率。財務省発表(2026年10月7日)。変動10年は最初の半年に使われる金利

金利は、一般の国債の市場金利などをもとに、タイプごとのルールで毎月決まります。
どのタイプも、金利が年0.05%より下がることはありません。

「固定」と「変動」の違いは、金利が動くかどうか。

固定は、
買ったときの金利が満期まで続きます。今の金利で決めてしまいたい人向け。
変動は、
半年ごとに金利が見直されます。この先、金利がもっと上がれば、そのぶん受け取る利息も増えていきます。逆に、金利が下がれば利息も減ります。ただし、どれだけ下がっても年0.05%は守られます。

期間の長さも、選ぶときのポイントです。
3年、5年、10年。
そのお金をいつまで使わずに置いておけるかで、選ぶタイプも変わってきます。

なぜ「安全」と言われるの?

個人向け国債は、一般的に「安全性が高い」とされる商品のひとつです。

理由は、元本と利息を払うのが日本政府だから。
国の信用に支えられている商品です。
ただし、「安全性が高い」は「リスクがゼロ」という意味ではありません。
国の信用に支えられている以上、リスクがまったくないわけではない、ということは知っておきたいところです。

もうひとつは、さきほどの「額面の元本が戻ってくる」仕組み。
ふつうの国債は、市場で売り買いされるので、金利が上がると値段が下がることがあります。
個人向け国債は、途中で換金しても元本の価格は変わりません。ここが、個人向けに作られた一番の特徴です。

金利はどう動いてきた?

個人向け国債の金利は、ここ2年ほどで大きく上がりました。

2024年6月募集分の固定5年は0.59%。
それが、2026年10月募集分では2.39%です。

日銀の利上げなどを背景に、市場の金利が上がってきたことが影響しています。
市場の金利が上がると、新しく募集される個人向け国債の金利も上がりやすくなります。

なお、11月募集分の金利は11月6日に公表予定。募集期間は11月9日から30日までです。

どこで買えるの?

個人向け国債は、証券会社や銀行など、全国の多くの金融機関で買えます(9月募集分の取扱機関は873)。
例えば、こんなところです。

  • 証券会社:野村證券は、店舗でもネットでも申し込めて、購入時の手数料はかかりません
  • 銀行:三菱UFJ銀行は、店頭の窓口のほか、ネットでも申し込めます
  • ゆうちょ銀行:本支店や、国債を扱う郵便局の窓口で買えます

ここで挙げたのは、あくまで例です。
取り扱いや手続きは金融機関ごとに違うので、普段使っている銀行や証券会社で確かめておくと安心です。

気をつけたいこと

安全性の高い商品ですが、知っておきたい点もあります。

■1年間は換金できない
発行から1年たつまでは、原則としてお金に戻せません(亡くなった場合や大きな災害にあった場合などの特例を除く)。すぐ使う予定のあるお金には向いていません。

■途中で換金すると、利息の一部が差し引かれる
1年たてば、いつでも途中で換金できます。ただし、直前2回分の利息(税引前)に0.79685をかけた金額が差し引かれます。ざっくり言うと、手取りの利息およそ1年分。すでに受け取った利息で相殺される計算なので、仕組み上、貸したお金を下回ることはありません。

■固定タイプは、あとで金利が上がっても変わらない
固定5年を買ったあとに金利がもっと上がっても、自分の金利はそのまま。そこは割り切りが必要です。

■NISAでは買えない
個人向け国債は、NISAの対象外です。

■預金保険の対象ではない
銀行で買っても、預金ではありません。守ってくれるのは預金保険ではなく、国(日本政府)の信用です。

12月から「個人向け国債プラス」に

12月募集分から、名前が「個人向け国債プラス」に変わります。

変わるのは、買える人の範囲。
これまでは個人だけでしたが、一定の条件を満たす医療法人や学校法人、資本金5億円未満の非上場企業、マンションの管理組合なども買えるようになります。上場企業などは対象外です。

個人にとっては、商品の中身は変わりません。
3つのタイプも、途中換金のルールもそのまま。
名前を見て「別の商品?」と迷わなくて大丈夫です。

まとめ

個人向け国債は、国にお金を貸して、利息を受け取る仕組み。
利益は利息だけで、満期には額面の元本が戻ってきます。

1年は換金できない、途中で換金すると利息の一部が引かれる、といったルールもあります。
それでも、仕組みを知っておくと、お金の置き場所の選択肢がひとつ増えます。

どんな商品かを知ったうえで、自分の暮らしに合うかどうか。まずはそこから考えてみるのがよさそうです。

⚠️ ご注意ください この記事は、個人向け国債の仕組みを知っていただくためのもので、購入をすすめるものではありません。金利などの条件は募集ごとに変わります。最新の情報は、財務省や各金融機関の案内で確かめられます。

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