今さら聞けない、「オルカン」「S&P500」って何?

新NISAの話になると、よく出てくる言葉があります。
「オルカン」と「S&P500」

名前は聞くけれど、中身はよく分からない。そんな人も意外と多いのかも。

この記事では、「どちらがよいか」ではなく、2つがどんなもので、どんな違いがあるのか。
そして、実際の商品にはどんな費用がかかるのか。数字を見ながら、順番に見ていきます。

数字は、10月29日時点で確認できた資料をもとにしています。

そもそも「オルカン」と「S&P500」って?

まず、言葉の意味から。

「指数」は、市場のものさし

指数とは、株式市場の動きを測る「ものさし」のこと。
たとえば「この500社の株価をまとめて見ると、今日は上がった」と分かる数字です。

「S&P500」は、この指数の名前。米国の代表的な株価指数です。

投資信託とインデックスファンド

投資信託とは、多くの人から集めたお金をまとめ、運用会社が決められたルールに沿って、株式や債券などに投資する商品です。

そのうち、指数と同じような値動きをめざすものを、インデックスファンドと呼びます。

投資信託の基本は、過去の記事でも紹介しています。
・投資の世界をのぞいてみよう!【第2回:投資信託編】

オルカンとは

「オルカン」は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の愛称です。
「オール・カントリー」の略で、「全世界株式」と呼ばれることもあります。

この商品は、MSCI ACWI(エムエスシーアイ・エーシーダブリューアイ)という、全世界株式の指数に連動をめざしています。
対象は、23の先進国と24の新興国(経済が成長の途中にある国)の、大型株と中型株です。

この記事では、全世界株式のインデックスファンドの代表例として、MSCI ACWIの数字を見ていきます。

S&P500とは

投資対象を、米国の大企業に絞った指数です。米国の株式市場の時価総額の、約8割をカバーするとされています。

銘柄数は503。「500」という名前ですが、500社ちょうどではありません。
同じ会社が2種類の株を出している場合などに、別々に数えるためです。

また、構成企業の中には、米国以外でも事業を広げている会社があります。

数字で比べる

項目オルカン(MSCI ACWI)S&P500
投資先先進国と新興国の株式米国の大企業
銘柄数2,414503
米国が占める割合64.21%100%
日本が占める割合5.2%なし(日本企業は対象外)
上位10銘柄が占める割合25.40%約38%

※ オルカンは2026年9月30日時点(MSCI)。S&P500は2026年7〜8月末ごろの資料にもとづく概算で、日付が違います。単純な比較はできません。

「全世界」でも、6割以上は米国

オルカンの中で、国ごとに占める割合は、米国が64.21%。次が日本の5.2%、台湾3.46%、英国3%、カナダ2.9%と続きます。

名前は「全世界」。でも、中身は米国の比重が大きい。ここは、知っておきたいポイントです。

「分散」と「集中」の違い

どちらの指数も、基本的には、大きな会社ほど全体に占める割合が大きくなる作りです。

だから、大きい順に上位10社が全体の何割を占めるかを見ると、「大きな会社の動きの影響を受けやすいか」が分かります。

オルカンは、約2,400銘柄に広く投資します。上位10銘柄が占める割合は25.40%。

S&P500は、約500銘柄。上位10銘柄が占める割合は約38%で、大きな会社の影響を受けやすい形です。
最大の銘柄でも、1割弱。上位には、NVIDIA、Apple、Microsoftなどが並びます。

どちらにも共通するリスク

元本割れの可能性

株式に投資する以上、値下がりすることがあります。
買ったときより、評価額が下がることも。
これは、どちらも同じです。

為替の影響

外国の株式は、現地の通貨で値が付きます。
円に換算して値動きを見るため、株価の変動に加えて、為替の影響も受けます。

ほかの条件が同じなら、『円高は円での評価額を押し下げ、円安は押し上げる』働きをします。

為替の影響を抑える「為替ヘッジ」を使う商品もあります。ただ、この記事の後半で例にする2つの商品は、原則として為替ヘッジを行いません。

「どちらが得か」は、分からない

将来の値動きは、誰にも分かりません。
過去の成績が良くても、これからも続く保証はありません。

実際の商品と、かかる費用

商品名の例

指数に連動する商品は、運用会社がそれぞれ出しています。
たとえば、次のような商品です。

  • MSCI ACWIに連動:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。愛称は「オルカン」
  • S&P500に連動:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

どちらも、三菱UFJアセットマネジメントの商品です。

ただし、これはあくまで例。
同じ指数に連動する商品は、ほかの運用会社にもあります(たとえば、たわらノーロード S&P500など)。ここで特定の商品をすすめているものではありません。

商品の名前は、どの証券会社でも同じ。違うのは取り扱っているかどうかです。
利用している証券会社で確認すると安心です。

かかる費用
費用かかるとき内容
信託報酬持っている間、毎年運用や管理の費用。基準価額(投資信託の値段)から自動的に差し引かれる
購入時手数料買うときつみたて投資枠の対象商品は、0円が条件
その他の費用運用の中で監査費用や、株式の売買にかかる費用など。運用報告書などで確認

上の2つの例の信託報酬は、次のとおりです(税込、上限)。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):年0.05775%以内
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):年0.0814%以内

たとえば、
評価額が1年間ずっと100万円だったと仮定すると、上限で年約578円と、約814円の計算です。
実際の金額は評価額などによって変わり、これ以外の費用がかかる場合もあります。

全世界株式の例では、保有する株式などを貸し出して得た収入(品貸料)の一部が、運用会社などに支払われ、信託報酬に追加される場合があります。

信託報酬は、商品ごとに違います。また、変更されることもあります。
選ぶときは、各商品の最新の資料で確認してみてください。

新NISAでは、どう位置づけられる?

新NISAには、2つの枠があります(金融庁)。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間の投資枠120万円240万円
総枠(生涯の上限)1,800万円(2つの枠の合計)1,800万円のうち、1,200万円まで
非課税の期間無期限無期限

つみたて投資枠には、金融庁が定めた基準を満たす、長期の積立・分散投資に向いた商品だけが対象になります。オルカンに連動する商品も、S&P500に連動する商品も、対象になっているものがあります。

ただ、すべてが対象とは限りません。
興味を持った商品があるときは、自分が利用している証券会社の一覧で確認してみてください。

NISAとiDeCoの違いは、過去の記事も参考にどうぞ。
・年齢別NISAとiDeCoのメリット・デメリット比較 50代~60代編

商品を選ぶ前に

正解は人によって違うもの。選ぶときに、この3つを少し考えてみてはどうでしょか。

  1. いつ使うお金か:数年以内に使う予定のお金は、値動きのある株式と相性がよくないことがあります
  2. 値下がりしても続けられるか:評価額が下がった場面を想像して、落ち着いていられるか
  3. どんな分散に納得できるか:世界に広く投資するか、米国に絞るか。中身を知ったうえで選ぶこと

まとめ

  • 「オルカン」は投資信託の愛称、「S&P500」は指数の名前
  • 全世界株式の指数は約2,400銘柄で、米国が6割以上。S&P500は米国の約500社
  • どちらが得かは、分からない。リスクと、信託報酬などの費用を知ることが大切

聞いたことのある言葉の中身を知るだけで、見える景色が変わりますね。

⚠️ ご注意ください この記事は仕組みの紹介で、特定の商品や投資をすすめるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な判断は、ご自身でお願いします。


参考(公式発表ほか)

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