「あなたの保険、使いこなせていますか?」-第2回- 健康保険・年金・雇用保険、あなたは毎月いくら払っている?その中身を確認してみよう

「手取りが思ったより少ない」 「社会保険料、毎年上がってる?」

そう感じている人はかなり多いのでは。
実際、社会保険料の負担は決して軽くありません。
不満を感じるのも、普通のことだと思います。

ただ、せっかく払っているなら、何のためにいくら払っているかを知っておくだけで、いざという時の備えとしての見え方がまったく変わってきます。
今回は、毎月給料から引かれている公的保険の中身を、わかりやすく整理してみます。

公的保険、実はこんなに種類がある

毎月の給与明細に並んでいる項目をあらためて見ていきましょう。

① 健康保険
病院に行った時に、医療費の自己負担が原則3割で済むのは、健康保険のおかげです。
会社員が加入するのは「協会けんぽ」または会社独自の「組合健保」のどちらか。
どちらも基本的な給付内容はほぼ同じですが、組合健保は独自の付加給付を上乗せしている場合もあり、
保険料率は協会けんぽは都道府県ごと、組合健保は各組合ごとに異なります。

② 厚生年金保険
会社員が加入する年金保険で、全員が加入している「国民年金」に上乗せされる形で積み立てられるもの。
その分、将来受け取れる老齢年金の額も増える仕組みです。
また、障がいを負った時の「障がい年金」や、亡くなった時に遺族が受け取れる「遺族年金」も、国民年金と厚生年金の両方から給付されます。
会社員は厚生年金にも加入しているため、受け取れる額が多くなるだけでなく、保障の範囲も手厚くなります。

③ 雇用保険
仕事を失った時の「失業給付」や、育児休業中の給付金などが受け取れる保険。
「育休中にもお金がもらえるの?」と思った人もいるかもしれませんが、あの育児休業給付金は雇用保険から支給されています。
意外と知られていない給付の一つです。

④ 労災保険
仕事中や通勤中のケガ・病気を補償する保険。
保険料は全額会社負担なので給与明細には登場しませんが、会社員であれば自動的に加入しています。

実際、いくら払っているの?

2026年度の最新料率をもとに、月収30万円の会社員(東京都在住・40歳未満)のケースでざっくり計算してみます。

種類料率(本人負担)月額負担(目安)
健康保険約4.93%約14,775円
厚生年金9.15%約27,450円
雇用保険0.5%約1,500円
合計約43,725円

月収30万円から、約4万4千円が社会保険料として引かれる計算です。
確かに、少なくない金額ですよね。
なお、この表には2026年4月から新設された「子ども・子育て支援金」(本人負担約0.115%)は含んでいません。実際の引き落とし額はこれより若干多くなります。

健康保険料率は都道府県・加入先によって異なります
健康保険料率は全国一律ではありません。
協会けんぽは都道府県ごとに料率が設定されており、組合健保は各組合ごとに独自の料率を定めています。
上の計算はあくまで東京都・協会けんぽ加入の場合の目安です。
自分の保険料率は、給与明細や加入している保険のウェブサイトで確認してみてください。

毎年9月に保険料が変わる仕組み
社会保険料は毎年9月分から金額が変わることがあります。
これは、4〜6月の給与をもとに「標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)」という基準が決まるためです。
4〜6月に残業や手当が多い月があると、9月以降の保険料が上がることがあるので、覚えておくと給与明細の変化に気づきやすくなります。

実はこんなに!公的保険の給付

保険料が高いのは事実です。
ただ、加入していることで受け取れる給付もあります。
知っておくと、いざという時に役立つものを整理してみます。

健康保険から受け取れる主な給付

  • 高額療養費制度:1か月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が戻ってくる制度。収入に応じて上限額が決まります
  • 傷病手当金:病気やケガで仕事を休んだ時、給与の約3分の2が最長1年6か月支給される
  • 出産手当金:産休中に給与の約3分の2が受け取れる
  • 出産育児一時金:出産時に1児につき50万円が支給される(2023年度改定)

雇用保険から受け取れる主な給付

  • 失業給付(基本手当):離職後、一定期間の生活を支える給付
  • 育児休業給付金:育休中に給与の約67%(額面)が支給される。育休中は社会保険料や所得税が免除されるため、手取りベースでは約8割相当になります。
    さらに2025年4月から、両親がそれぞれ一定期間以上育休を取得する等の条件を満たすと、最大28日間は手取りベースで10割相当になる制度も新設されました
  • 教育訓練給付:スキルアップのための講座受講料の一部が支給される

年金から受け取れる給付

  • 老齢年金:65歳以降に受け取れる年金
  • 障がい年金:病気やケガで障がいが残った場合に受け取れる年金
  • 遺族年金:亡くなった時に遺族が受け取れる年金


独身で健康な人は「あまり使っていない」と感じることも多いと思います。
ただ、子育て中の人や病気・ケガをした時、仕事を失った時など、ライフステージによって使える給付は大きく変わってきます。

なお、傷病手当金・出産手当金・育児休業給付金は、会社員が加入する健康保険・雇用保険ならではの給付です。
自営業やフリーランスの人は対象外となるため、別途民間保険での備えを検討する価値があります。

2026年から新しく始まった「子ども・子育て支援金」

2026年4月から、給与明細に新しい項目が加わっています。
「子ども・子育て支援金」です。

これは少子化対策の財源として新設されたもので、健康保険料と合わせて徴収されます。
2026年度の料率は0.23%(労使折半で本人負担は約0.115%)。
月収30万円の場合、月数百円程度の水準です。
2028年度まで段階的に引き上げられる予定で、今後も給与明細で確認しておきたい項目の一つです。

知ることが、使いこなす第一歩

社会保険料の負担は、多くの人にとって高額で重たいものです。
ただ、何に使われているのか、何に使えるのかを知っておくことが、いざという時の大きな差になります。

もちろん、すべての人がすべての給付を使うわけではありません。
でも、知っていることで、いざという時の動き方がまったく変わってきます。

次回は、公的保険ではカバーしきれない部分を補う「民間保険」について。
本当に必要な場面と、見直してもいい場面を一緒に考えていきます。

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